相変わらず理解し難い話ではあったが、何となく視界が開けてきた。
ミツキが話を進めるにつれ、放り出していた感情が帰ってくる。心の何処かで、これは夢なのだと軽くあしらっていた。
此処はどこなのかと問うたところで理解できる答えは得られないだろう。冷たい河に足を取られる心地がした。

「…大丈夫か?」
一息着いたミツキが声をかけ、覗き込む。ああ今自分はきっと酷い表情をしているのだろう。心配かけまいと軽く笑って大丈夫だと頷く。

「…そうだ、フルフルは?」
なんとなく話題を変えたかった。仔竜の事を尋ねれば、ミツキは何か思い出した様に話に乗るのだった。
「そうそう、あいつの事なんだけどさ、あいつって何食べるの?トウモロコシあげたらちょっと食べたけど。」
想定外の質問ではあったが、とりあえず何か食べさせてもらえただけマシなのだろう。
「…フルフルは肉食だよ。まだ子供だから、生肉の血の多い所をあげればいいと思うんだけど…トウモロコシ食べたの?」
「食べた。」
食べられたのだろうか。慣れぬ物を食べたせいで調子でも崩していなければいいのだが。
「…ねえ、様子を見たいんだけど、連れてきてもらえない…?」「えーと…、あいつ持ち上げると暴れるんだよなあ…。」
どうしたものかと頭を抱える。

「君が部屋に来ればいいんじゃないか。」
ちょっと待ってて、と言って彼女はどこかへ行ってしまった。




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