今も鮮明におぼえているのは14年前の今日、俺達が出会ったことだ。


俺がアイツ、臨也に遭ったのは高校の入学式。校舎を見上げた先にえらく気に入らねえ面したヤツがいると思ったのが第一印象。


その後新羅に紹介された時には結果的に大乱闘となり、やっぱり気に入らねえヤツだと思ったのが第二印象。


それからの高校生活は平穏とはかけ離れ、来る日も来る日も臨也と喧嘩をした。だけど、俺がどんなに力をふろうとも立ち向かってくる臨也に俺はどこか安心していたかもしれない。


それどころか認めるのはかなり癪だが、俺はそんな臨也を好ましく想っていた…あくまで喧嘩相手としてだが。


そして卒業するまで、卒業してからも俺と臨也の関係は変わらなかった


ほんの6年前までは―。





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「臨也!!テメェ池袋に来るな!!」
「俺が来ても別にいいだろう?池袋が君のってわけじゃないんだから」
「テメェが来ると嫌なことしか起こらねえからだ!!」
「それは心外だなあ、シズちゃん」
「そのふざけた名前で呼ぶんじゃねえ!!」

俺が臨也を見つけ、標識をぶん回して追いかける、いつも通り。

「捕まえたぜ、臨也くんよお」
「………殴るんなら早くしてよ?俺暇じゃないし、新羅のとこにも行かなきゃだし」
「テメエさっき散歩って言ってたじゃねえか」
「シズちゃんのくせに人の揚げ足取るなんて生意気」
「んだと?」

こいつは俺と話す気はないのか、さっきから俺と目を合わせようとはしない。臨也の紅の眼が俺を見ていない。

(なんかコレ、気に入らねえ…)

(ちくしょう、こっち見ろってんだ)

(なんでコイツは俺を見ない)

(でも何で俺はそれが気に入らないんだ?)

そう思ったときにふと、前に幽が出てたドラマを思い出した。確かヒロインが、好きなヤツには自分のこと見ていて欲しいとか言ってた。

(俺もそうなのか…?)

「俺はお前が好きなのか?」
「はい!?」

(お、こっち見た)

「シズちゃん、今なんて言ったの…?」

俺の言葉を聞き顔を向けた臨也と目があった瞬間、さっきまで感じていたわだかまりが取れた感じがした。

(そっか、そうなのか)

「シズちゃん?」
「俺、お前が好きなんだわ」
「はあ!?」

その後臨也がいつにも増してウルサいことを言っていたが正直おぼえていない。ただし、臨也が真っ赤な顔を俯かせて「俺も好きだけど…」と言ったこと以外。





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それから俺たちは恋人同士となり、4年前からは一緒に暮らすようになった。だけど相変わらず喧嘩はするし、お互いを気に食わないところも変わらない。でも、俺も臨也もお互いのことが好きだということも変わらなかった。


今日の仕事を終えて家へ帰る。その俺の手にはいつもはない物が壊さないよう握られている。

「あ、シズちゃんおかえりー」
「おう、ただいま」
「お、何持ってるの?」
「ああ、これお前にな」
「俺に?」

俺が臨也に差し出したのはローダンセというピンク色した花が一輪。ラッピングもしてもらった。

「一緒になって4年目のお祝いな。たしか花婚式って言うんだろ?」
「………シズちゃん、君ってヤツは」
「なんだよ?」
「なんでもなーい」
「あ、そいつな――」


変わらぬ想い
(って意味なんだとよ。俺達みたいだろ)
(シズちゃん恥ずかしい!)



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2010.1011


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