※モブと臨也が出会いました


――ああ。やっと思い出した。





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私は忘れ物のため自分の教室へ逆戻り。クラスメイトは皆帰宅しており、教室内は無人となっているはずだった。

(………ん?)

しかしそこには人がいて、窓際に突っ立って何かをジッと見ている。

(あれは…)

入学当初からの有名人・折原臨也。何故彼が?と思ったが、何だか気になったので私も窓を覗き込む。

(おお!今日は"止まれ"標識)

そこから見えたのは、これまた有名人として知られる平和島静雄がざっと20人はいるであろう他校生と一戦交えている姿だった。

(ここで高みの見物というわけか)

彼の顔を窺うと折原はただ彼を見ているだけだが、その雰囲気には何やらこそばゆいものがある。私はもしやと思った時と同じくして言葉を投げ掛けていた。

「好きなの?」
「!!!」
「平和島が好きなの?」
「………」
「………」
「……あ、あの」
「うん」
「シズちゃんってさ、カッコイイ、よね」
「そうだね」
「だから、女の子から人気あるみたいで、えっと…」
「うん」
「…どうしたらいいと思う?」

正直言って無視されるだろうと思っていたが、予想に反して面白い反応が返ってきてしまったものだ。さて、折原が平和島との関係が発展するにはどうしたら善いだろうか。

(うーむ…)

「やっぱダメ、だよね…。シズちゃん男だし、俺も男だし」
「へ?いやいやいや、それより何より君は己の所業を改めることから始めた方がいいよ」
「……え?」

私の返しが予想外だったらしく、折原は一瞬ポカンとしてしまっていた。

「だからさ、平和島に対してもっとこう…素直になることから始めた方がイイと思う」
「……うん」
「何かおかしかった?」
「…別におかしくはないよ、アドバイスの内容については。けどさ、普通男が男を好きになったと聞いて平然と受け答えする君はおかしいかもと思うけど」
「そうかな?」
「そうだよ」

失礼なことを言われたが、さして気にもならないので流しておく。それよりも、そろそろ夕飯の時間なので帰宅するとしよう。

「では健闘を祈る」
「あ、うん」

"じゃあ"と私はその場を後にする。そして後日またも折原からの相談をうけ、更にはそれ以降も私は相談係と化すのであった。





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――あの時からとか随分と根気よくやってるよなあ。


止まらない
(それにしても長い…)



2010.0621


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