※モブ語り


いつからだったか。生憎と記憶力が弱いので思い出すことが難しい。たしか高校生の頃だったとは思うが、きっかけを忘れてしまった。だがしかし、ヤツの恋路応援をさせられていることはしっかりと覚えている。

――ガゴオオオオオオン

(ああ、今日もか)

近くの通りからものすごい破壊音が聞こえてきた。今日も彼は絶好調らしい。そして今日もヤツは池袋に来ているみたいだ。

「いぃざあぁやあああああああ」
「おや、シズちゃん。今日もご機嫌麗しくないようだ」
「テメェがここにいるからだろうが、あ゛あ゛?」
「シズちゃんは相変わらずそればっかりだねえ」

相変わらず、たしかに相変わらずだ。彼がヤツに殺気を放つのも自販機を投げつけるのもいつものこと。

「テメェも相変わらずムカツク顔しやがって、面見せるんじゃねえって何回言えば済むんだよ」
「そうはいっても仕事なんだからしょうがないだろ。俺だってシズちゃんがいるから出来れば来たくないし」

さらに相変わらずなのはヤツもである。彼に見つけられては自販機を投げられ、そして

「じゃあその仕事とやらが一生無くなるようにしてやるよ。っつーわけで死ねっ!」
「やだなあ。仕事どころか趣味の人間観察ですら出来なくなるじゃないか。やっぱりシズちゃんはおバカさんだよね」
「そのあだ名で呼ぶんじゃねえノミ虫いいい」
「いいじゃないかあだ名くらい。減るもんでもないし」

そして彼のことが好きなのに素直になれず逆に彼がキレるような態度しかとれないヤツもいつものことである。

申し遅れたが、私は――である。先程から戦闘している二人の同級生であり、あるヤツの恋路を約8年も応援をさせられている一般人である。そしてそんな私をよそに戦闘しているのは、標識片手に振り回している平和島静雄といつまで経っても素直になれない折原臨也。
もうお気づきだろう。私は何の因果か、折原臨也の平和島静雄への恋を応援させられているのだ。


乙女ではない
(むしろ肉食系…?)



2010.0613


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