夢
「昔の話ですけどね。」
アリアが言った。
気づけば私は、夕暮れの部室に居た。
アリアは夕陽に照らされいて、まるで後光のようで眩しくてうまく目が開けられない。
「昔の話ですよ。貴女とエルと私は、共にあの場所に居ました。私もあの場所が好きでした。懐かしかったんです。
だってあそこは、私と亡き夫が居た場所に、近かったんです。」
「はあ。」
よく見てみると、人間のアリアだった。
ぼやけてよく見えないけど金髪が揺れていた。
「彼は死にました。戦争で死にました。私は呪いました。神を呪いました。あんなにも祈っていたのに、悟ったのに、彼は死んだ。彼が死に、私は崇められて、私は中途半端に神になりました。けれども私さえ、敵の男たちに捕らえられ、その日の夜に本当の世へ逃げたのです。私の死後、私を崇める人が増えました。彼らは狂ったように信仰していました。だから私は見ていました。空から見ていました。そして私は願いを叶えました。この世の狂っていた全てを正したのです。しかし今までの世界とは似て非なるものでした。私が正したことで、人々は今までのそれとは違う形となったのです。ですが私は忘れませんでした。見ていました。ずっと見ていました。あの場所が私にとって懐かしいのは、そういうことだったのです。」
「…」
アリアの言っていることの8割は理解できなかった。
アリアにとって、あの場所はかけがえのない場所。
「…私は、どうしたらいい?」
「…あなたは記憶が戻りたてだから、まだ色々忘れているだけよ。 あなたは」
そこで急にあたりが暗くなり始める。
急なことに目を白黒させる私
アリアの気配が無くなり、近づいてよく見ると、彼女は机に突っ伏して息をしていない。
これはアリアの身体だけだ。中身はどこへ行ったんだ。
突然窓ガラスが割れ、反射的に目を瞑った。
と、同時に目が醒めた。
「…はぁ…。」
変な夢を見た。疲れていたんだろう。
あれだけ村の中を歩き回ったのだから。
いつから寝ていたんだ。思い出せない。今、何時?
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