2016/02/11 23:59
大丈夫、失踪はしない。約一年ぶりでごめんなさい。そんなダイジェストの続きです(苦笑)

はい、お待たせ…
ていうか、ここを読んでいらっしゃる方がどのくらいいらっしゃるのか分かりませんが、とんでもなく久しぶりにダイジェストの続きでございますよ、はい。
もうホント、お待たせのレベルじゃないよね、洒落にならないスミマセン(土下座)
とりあえず、投下。
今回は、かなり急展開ですよ!!


↓↓↓


目が覚めて、最初に視界に映ったのは見知らぬ天井だった。
しかも室内はかなり暗い。
綱吉はしばらく自分の目が開いているのかどうかさえ認識できなかった。
その暗さの中、不意に何かが動く気配を感じた綱吉は反射的に視線をそちらに移した。
すると、
「ああ、目が覚めちゃったんだね、お兄ちゃん。さすがはボンゴレの超直感ってところかなぁ」
「英都…」
視線の先に居たのは、桜野英都だった。
だが何かが違うと感じた。
綱吉はその違和感を探るように暗闇の中にいる英都の顔をじっと見つめた。
そして気付く。
英都の、あの人懐こそうな笑顔が一切消えている。
そこに居る英都の表情は、笑顔をただ貼り付けただけの顔になっていた。
まるで、今まで綱吉が接していた表情をコロコロと帰る英都の方が、まがい物だったとでも言うように、
「英都…」
その無表情の中に、綱吉はどうにかして英都の意図を読み取れなはしないだろうかと思いを込めて名を呼んでみるが、英都はただ、薄く笑むだけだった。
向けられる笑顔が、氷のように冷たい。
「ふふ。でも嬉しいな。もうすぐ僕たちは、本当の兄弟になれるんだよ。お兄ちゃん」
どこか独り言のように呟きながら、ユラユラと体を揺らして英都が綱吉の傍へと寄ってきた。
その手がスルリと伸びて綱吉の頬へ触れる。
「っ!」
それまでも綱吉は英都の手を冷たいと感じてはいたが、今触れているその手はこれまでよりもさらに冷たく感じられた。
それはおそらく、剥ぎ取られた英都の表情が体温さえも奪ってしまっているからだろう。
「やぁ、ボンゴレ。いいタイミングで目を覚ましたね」
「!!」
英都に気を取られていると、さらに奥から男の声が聞こえてきた。
綱吉はビクリと体を強張らせる。
「お前は…」
そこに居たのは、あの保険教諭の男だった。
「ああ、自己紹介がまだだったね。初めまして。私は時森大地。英都たちの…そうだね、産みの親…とでもいうべきかな」
そう言いながら、男も綱吉の傍へと寄ってくる。
途端に、綱吉はゾクリと背筋を凍らせた。
本能的に身構える。
危険信号が、脳内に響いた。
(まずい。この男は、危険だ)
「ふふ。脅えている君もまたいいね。もっといろいろな表情がみてみたいよ。僕の作品を完成させるためにも、ね。綱吉君」
クツクツと男が笑う。
その笑顔が、綱吉の警戒心をさらに強めた。
(なんだ…、こいつ…)
怖い…と、体が逃げを打つ。
近づいてはダメだ。
すぐに逃げろ!
警告が脳内で鳴り響く。
「っ!!」
綱吉は警告に従い起き上がろうとした。
しかし、体が動かない。
(なんだ?!)
慌てて己の状態を確認する。
ガチャガチャと耳元で鎖の擦れる音がすることに、ようやく気が付いた。
(縛られてるのか…)
両手両足だけではない。
ご丁寧に胴体にまで鎖が巻かれており、現在綱吉が寝かされているベッドに括りつけられていた。
(くそっ!)
だがこんな鎖くらいなら、死ぬ気の炎で焼き切れる。
そう思い死ぬ気の状態に変わろうとするが、
(死ぬ気になれない?!)
どう意識を集中させても、額に死ぬ気の証である炎が灯らない。
ここ数年は死ぬ気弾や特殊弾の力を借りずとも、己の意思で死ぬ気のオン・オフが出来るようになっていた。
いざという時に死ぬ気になれずに負傷したでは話にならないからだ。
こういったピンチに対応できるよう、リボーンの訓練によって死ぬ気を自在に操ることができるようになったはずだった。
けれども、いくらやっても綱吉の額に炎は灯らない。
焦りが生まれた。
その焦りが顔にも出たのだろう。
「死ぬ気になろうとしているのかい?残念だけど、君はあと数時間、死ぬ気になることはできないよ」
男が楽しそうにそう告げた。
どういう事だと男を見上げる。
「まだ試作段階らしいけどね、死ぬ気の力を抑え込む薬らしい。君が眠っている間に投与させてもらったよ」
「っ!!」
息を飲んだ。
まさか、そんな薬が開発されているのか。
綱吉の耳には、まだ届いていない。
試作段階と言っていた。
いったい、どこの組織が指揮をとって開発しているのか。
早急に突き止めなければと思うが、今はそれどころではない。
死ぬ気になれないとなれば、鎖を引きちぎる事もできない。
「お前は、いったい…」
改めて男の顔を見る。
ただの養護教諭ではないことは、もう明白だ。
死ぬ気の炎の存在を知っていると言う事は、やはりマフィアの関係者なのか。
(そう言えば…)
ふと思い出す。
そう言えば、英都は彼の事を「おじさん」と呼んだ。その直後に「先生」とも言い直していたが、
(この男が、英都の言っていたおじさんの正体か)
恐らく間違いない。
リボーンと綱吉が、ここ数日ずっと探していた正体不明の人物だ。
まさか養護教諭として校内に居たとは盲点だった。
しかし、ならばどうして誰もその正体が養護教諭である事を口にしなかったのだろうか。
英都の言う「おじさん」が養護教諭であると誰も知らなかったのか、それとも…
(リボーンが言っていた、誰も英都の話題に触れたがらない理由とやはり関係があるのか…)
「ふふ。なんだい?そんなに熱心に見つめられたら、嬉しいけれどもとても照れるよ」
「っ!!」
相手の情報を得ようとして、どうやら凝視していたらしい。
男…時森はニヤニヤとした笑みを浮かべ、ほんのりと頬を紅色に染めながら綱吉の顔を真上から覗き込んできた。
その距離が、とても近い。
鼻先が触れそうなほどの距離の近さに、綱吉は思わず顔を歪めた。
「酷いな。そんな顔をしなくてもいいじゃないか」
嫌がる綱吉の顔を見て、時森はひょいと肩をすくめながら上体を起こすと、額に手を当てながら大袈裟に息を吐いた。
その仕草のひとつひとつが、どうにも演技がかっていて鼻につく。
「でもね、私にそんな顔を見せていられるのも、今の内だけだよ」
時森はそう言うと、英都を自分の傍に呼び寄せ、その体を胸に抱き込んだ。
「私はね、ずっと待っていたんだ。君を…君が、僕の元に来てくれることを。君を手に入れる日を」
「……」
まるで綱吉を抱きしめる代わりのように、時森は英都の体を優しく撫でる。
「やめろ…」
思わず綱吉はそう口にしていた。
吐き気がする。
英都の顔は確かにジョットのものではあるが、ジョットと綱吉は元々よく似ている。
自分が抱きしめられ、そして時森に身を任せて好きに触れさせているようで、全身に寒気が走った。
何より、綱吉にそんなふうに触れてもいいのは、リボーンだけだ。
リボーン以外の人間に、いやらしく体に触れられたくはない。
「やめろっ!」
もう一度叫ぶと、時森は拍子抜けしたように英都の体を離した。
「まったく、敵の手中にいて、さらに追い詰められているはずなのにその態度。君は本当に、ボスとして優秀な才能を持って生まれてきたようだね」
「……」
綱吉は何も応えない。
応える気もなかった。
綱吉の頑なな態度に、時森は再びやれやれと肩をすくめると、
「いいよ。今はそんな態度でも仕方がない。まだ私たちは、知り合ったばかりだからね」
ねっとりとした視線が、綱吉の体に注がれる。
綱吉は、唯一自由なる頭を時森から逸らして目を閉じた。
けれども、言葉通り時森はそんな態度でも気にしたようなそぶりは無く、
「それにね、言っただろう?君がそんな態度を取っていられるのも、今の内だけだと」
そう言って、再び英都を呼び寄せた。
「英都、あれをここへ」
「はい。先生」
そして、何事かを言い付ける。
英都は素直に頷くと、続き部屋があるらしいドアの奥へと入って行った。
「ふふ。英都は本当に、私の最高傑作だよ」
その背を見送り、時森は微笑む。
「…さっき、産みの親だと言っていたな」
ややして、先に口を開いたのは時森に背を向けたはずの綱吉だった。
「おや?私とは口も聞きたくもなかったんじゃないのかな?」
からかう態度に、綱吉は再び口を噤もうとしたが、英都の事はどうしても確認をしておきたかった。
ここに来てから、英都の態度が明らかにおかしい。
何より、時森に対する態度は、あまりにも従順過ぎた。
「おじさん」と言っていたからには、それなりに気さくな関係かと勝手に思い込んでいたが、
「先生」と言い直したその瞬間から、何かのプログラムでも書き換えられたかのように英都の表情までもが失われてしまった。
それに、時森の言った産みの親という言葉がどうにも引っかかる。
『英都たちの…そうだね、産みの親…とでもいうべきかな』
それはいったい、どういう事なのか。
知らなければならない。
綱吉は直感でそれを察した。
「大丈夫、安心して。その秘密は直ぐにわかるよ。それに、君はこれから私の最も美しい作品になるんだ。英都を超える、世紀の大作だよ。そのための実験はもう成功したと言ってもいい」
だが時森は綱吉の質問には答えず、それどころか綱吉をさらに混乱させることを言う。
「実験?」
それはいったい、何の実験なのか…
さらに疑問が増えていく。
もう一度綱吉が時森に問おうとしたその時だ。
隣室へと姿を消していた英都がこちらの室内に戻ってきた。
「英都?」
いったい何をしに行ったのかと、綱吉が様子を伺うように英都を見つめる。
英都はその腕に、何か重そうな物体を抱えていた。
「丁寧に運んできたかい?傷をつけてはダメだよ?」
「はい」
コクリと頷きながら、英都は運んできた物を時森の前に立たせる。
「ああ、いいね。この実験の成功を思うとゾクゾクるすよ」
時森はその物体をひと撫でし、そして英都に物体を綱吉の傍に持って行くよう再び指示した。
「いったい何を…」
物体は布に覆われている。
それは英都の身長と、ほぼ変わらない大きさだ。
英都はそれを綱吉の横たわるベッドの脇にゆっくりと下ろすと、躊躇うことなく巻き付けていた布を剥いだ。
「っ!!!!!」
綱吉の息が、一瞬止まる。
次いで、心臓が大きく飛び跳ねた。
全身に大きな衝撃が走る。
ピリピリとした痛みが、全身を駆け抜けた。
なんだ、これは。
いったいどうなっている?!
「炎真!!!」
声のかぎりにその名を叫んだ。
間違いない。
布の中から出てきたのは、行方不明になっていた古里炎真の…
「さぁ、今世紀最大の実験を始めようか!」
まるで死体を想像させるような、哀れな姿の石像だった。


続く。


てなわけでやっと見つかりました炎真!!
さぁ!そして!こっからバトル編突入ですよ!
大田さんの苦手なバトルシーン突入ですよ!!
ふう…(遠い目)
それこそ…魔法の言葉「中略」を使用したら、ごめんなさい。
うん、頑張る。
バトル頑張る…

ですが次は、もう一度リボーン先生側に戻ります。
ちょっとね、必要事項がもうひとつ。
これを回収しないと、ラストに繋がらないのだよ!





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