これの続き


※相変わらずぬるっとギャグ
※シンタローが突き抜けた鈍感
※安定のカノの扱い
※黒セト
※モモがブラコン
※話が少しも進まない


それから数時間後、メカクシ団のアジトで時間を潰したオレは帰路についていた。モモとセトとカノの四人で。エネも入れたら一応五人か。

キドには泊まっていかないかと誘われたが、モモがここにいると余計危ないからと言い張った。
別に危ないことなんて無いと思うんだが。

「いやあ、役得っすね」

「ほんとほんと」

しかし不自然なのは上機嫌なこの二人だ。

ストーカーからオレを守ること、それと撃退。そんな面倒な仕事を任せられて喜んでいる。
まさかアジトにいる間だけじゃなく、外でも家でもこいつらとべったり一緒に行動することになるとは。

「お前ら、そんなにオレといて楽しいか…?」

「はいっす!」

「からかい甲斐があるもんね、シンタロー君」

「よしカノ、お前は後で一発ぶん殴る」

「口は災いの元ですねー、吊り目さん」

モモが手にした携帯からエネの声がした。

モモはさっきからオレたち三人の数歩後ろを歩いている。
何やらエネとぼそぼそ話しているようだ。女同士の大事な話だから、と前置きをして二人きりで。

セトさんはともかく、とモモが呟いた。
モモの声はよく通るからひそめていたって自然に聞こえてくる。

「危ないのはカノさんだよね…。寝込みを襲われたらどうしよう」

「ご主人の寝顔を見たら誰だってムラっと来ますよ」

一体何の話をしてるんだ、あいつら!

もしかしてモモやエネまでマリーの仲間なのか?それでオレやセトやカノで妄想を…?
いや、考えるのはよそう。よすんだ。

「はあ…。もう何だってこんなことに」

「おやおや妹さん、必死ですね。どれだけご主人が大好きなのかお察ししますよ」

「ストーカーめ、絶対に捕まえてやるんだから!」

モモは声高らかに叫ぶ。

「愛されてるね、シンタロー君?」

「う、うるせえ」

カノがくすくすと笑うと、セトが声を上げて爽やかに笑った。


■□■


家に着くと出迎えた母親が仰天した。
「あんた、友達いたの…?」と信じられないものを見るような眼差しをして。

それを振り払い、爆笑したカノを殴り、オレの部屋に集まった…までは良いのだが。

「よく考えたらオレの部屋に三人も寝れないよな…」

成長期の野郎三人に対してベッド一つじゃ流石に無理がある。

大人しくアジトに留まるべきだったか。
でもモモがセトの部屋にもカノの部屋にも泊まるなって言ってたな。何故なんだろう。聞いても言葉を濁すばかりで教えてくれない。

「何もお兄ちゃんの部屋で寝る必要無いじゃない。空き部屋に布団敷けば」

「なっ、キサラギちゃん、最初からそれが目的で…!」

「当たり前です。カノさんと一緒の部屋だと何されるか分かったもんじゃありませんから」

「なんで僕限定なの!?」

「カノは邪念の塊っすからねえ」

「セトだってシンタロー君の前じゃ猫かぶってるけど、本当はシンタロー君に(※教育上不適切な表現のため自主規制)したり(※自主規制)したりしたいと思ってるでしょ!」

「カ、カノさんの変態!」

「しまった墓穴掘った!」

ぎゃあぎゃあとうるさく騒いでいる奴らを背にパソコンの電源を入れた。
エネが携帯の画面からそちらに移動し、気持ち良さそうに伸びをする。電脳世界に狭いとか広いとかって感覚はあるのだろうか。

後で聞いてみよう、と思っていると、後ろに立っていたセトが話しかけてきた。

「と、いうわけで俺は夜の間バイトに行かないといけないんで、外出してもいいっすか?キドの言いつけを破ることになっちゃうんすけど、一応俺が生活費稼がないと」

「何が『と、いうわけで』なのかはさっぱりだが、セトの言いたいことは分かった。ま、オレにずっと付き合わせるのも悪いしな」

「いや、シンタローさんと一緒にいられるのは嬉しいっす!それはもう、すごく!ちょっと心臓が持たないくらい!」

「え、そ、そんなに…?」

「はいっす!」

「そうか…」

目をキラキラと輝かせて大きく頷くセト。

キドがオレの警護を頼んだ時に感じた嫌な予感が嘘のようだ。
こいつは本心から俺と一緒にいたいと思ってくれている。カノはともかく、こいつが腹に何かを抱えているなんて考えられないよな。

セトの言葉が嬉しくて唇を緩く弧の形にすると、セトはにっこりと微笑んだ。

いつも思うのだが、こいつは元気で素直で従順で、見ていると犬が飼いたくなる。大型犬をイメージさせる奴だ。
よしよし、とオレより少し上にある頭を撫でる。

「シ、シンタローさん…?」

セトが目を丸くしてオレを見つめていた。にしてもこいつ血色がいいな、オレと違って。

「えっ?あ、ああ、お前犬みたいだなって思ったら、つい。嫌だったか?」

「い、いいい嫌じゃないっすけど、あの」

「ちょいちょいちょい、僕を差し置いて何やってるのさ、二人共」

カノが割り込んでくる。差し置いてってお前、モモと話してたじゃないか。

「僕のことも撫でてよ、シンタロー君」

「お前は嫌だ」

「力強い拒否!」

「カノは邪念の塊っすからねえ。…折角良いところだったのに…」

「それはもう聞いたよ…。あと猫かぶりが取れてきてるよ」

「じゃ、一応バイトついでにパトロールもするんで!シンタローさんを絶対危険な目には合わせないっす!」

なんて頼もしい奴なんだ。
少々天然ではあるけど「シンタロー君絶対騙されてるよね」カノよりずっと頼りになる「僕の評価そんなに低いの!?」。

「じゃあ僕はシンタロー君の身辺警護に勤しむとしますか」

「カノさんの布団、お兄ちゃんの部屋の前に引いていいですか?ストーカーが来るといけないので」

「廊下!?キ、キサラギちゃん、流石にそれはどうかな…」

「あ、じゃあ家の前で立って寝てくれますか?ストーカーが来るといけないので」

「布団すら奪われた!?」

立って寝るところにはつっこまないんだろうか。




カノは結局、二階の空き部屋(半物置状態)に布団を敷いて寝ることになった。セトも一応同室だ。
オレの部屋には近付くなと異様な迫力でモモが念を押していた。




続き


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -