とげとげ

「ふふ、君って面白いね。」
サボテンを間に挟み、不二は手塚を見て静かに笑う。
「・・・俺が面白いのか。それともサボテンか?」
不二はまたふふ、と笑う。
指を口元に寄せ、またニコリと微笑んだ。
「どっちもだよ。というより、サボテンと手塚が並んでいるのが面白いのかな。」
手塚が眉間に皺を寄せると、不二がクスクスと笑いだす。
クスクス笑っている恋人から目を反らし、自身の目の前にあるサボテンを見つめる。


とげとげ


(・・・不二の趣味はよくわからないな。)

「君、今僕の趣味がわからないって思ったでしょ。」
「・・・何故わかる。」
「だってサボテン見つめながらそんな難しい顔してさ、どうせ"とげとげだなー"とか思ってたんでしょ。」

当たりだ。

「とげとげしてるけど・・・こいつはこいつで可愛いんだよ。」
「そうか。」
手塚は静かに息を吐く。
とげとげが可愛い。確かにそうかもな、と思うと笑えてくる。
「何笑ってるの。」
「確かにとげとげ、可愛いな。」
「でしょ?君もわかる口だね。」
不二の方に視線を向けると、サボテンに優しく微笑んでいる不二がいた。
いつもの微笑みとは違う、優しく暖かい微笑み。


「不二。」
「なに。」
「サボテンじゃなく、こっちを向いてくれ。」
「なに。」
そこにはいつもの不二がいた。
しばらく見つめあっていると不二がこちらに身を乗り出してきた。


「手塚。」
「なんだ。」
「・・・なにもないよ。」


ぐい、と手塚は不二の頭を引っ張り軽く口づけた。
机の上のサボテンがことり、と倒れた。






(サボテンに嫉妬なんて、らしくないね。倒れちゃったよ。)(すまない・・・)
(手塚、もう一回キスして。次はサボテン倒さないよ。)




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お部屋でのんびりしてる二人が書きたかった



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