痛みと苦しみとそれから、

*自傷行為ネタです。ご注意ください。


「・・・っ」

ぽたぽた
赤い滴が腕をつたう。
痛みは、あまりない。

血が流れるのを見て、ああ僕は生きているんだなとぼんやり自覚する。

ぽたぽた

血は止まらず、小さなシミを服に作った。
服についた血は、中々落ちない。これは幾多もの魔物との戦闘で学んできた。


カタン


「・・・こんなところで何をしているかと思えば、まったく。」
「フェイト・・・」
「何をうつろな目をしている。左腕を見せてみろ。」

フェイトの強く、赤い視線が僕につきささる。
あ、苦しい。君からそんな視線を貰うのは苦しい。
僕はしぶしぶ左腕・・・左の手首をフェイトの前にだした。

「・・・カプセルぐらいでいいか。」
フェイトは自身のポケットに手をつっこむ。
心臓がどくどくと速くなる。

違う。
カプセルなんかじゃない。
フェイト・・・フェイト・・・

「や、やめて・・・」
僕は喉から無理矢理声を絞りだした。
フェイトは驚いたようにこちらを見つめ「何故だ」と聞いてくる。
「そ、それは・・・」
「何故だ?人の子は痛みが嫌いだろう?ほら、私がこのエレメントを使って楽にしてやるから・・・」
「駄目なんだよ、それじゃ駄目なんだ・・・」
「何が駄目なんだ?痛みから逃れようとすることは悪いことではない。」
フェイトの手がポケットからでた。手にはカプセルが握られている。


「嫌だ・・・フェイト、お願い、使わないで・・・」

僕は左腕を後ろに引いたが動かない。
きっと見えないフェイトの力に縛られているんだ。


「大丈夫だ、セルジュ。ほら・・・」


フェイトのカプセルがせまってくる。
嫌だ、違う。君に癒されたくて僕は自分を傷つけたんじゃない。違う。フェイト。フェイト・・・!



「私はお前が傷ついているのは見ていられない。」





跡形もなくきえてしまった手首の傷。
やっぱりエレメントってすごい。傷跡ひとつも残さずに・・・



フェイト、違うんだ。
僕は、エレメントで簡単に癒えてしまう体が怖かったんだ。
本当の痛みを忘れちゃったんじゃないか、って。
ねぇ、フェイト。今日はどこにいるの?
なんであの時カプセルを使ったの?
フェイト・・・




カタン




(お前の考えなど筒ぬけだ。)
(あ、フェイト。)
(痛みでしか世界と解りあえないのならこんな世界やめてしまえばいいだけのことだ。)
(君は強いな、やっぱり。)
(お前が海に帰る日、私も海に帰るとするよ。だから二度とあんなことするな。)
(わかったよ・・・)




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ごちゃごちゃしててすいません
病んでるセルジュ好きですはい←


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