cold2
「・・・」
目がさめると、周りの白さに一瞬目がちかちかした。
あたたかい体の感触。冷たい額の感触。
数秒して、俺はここが保健室だと理解した。
独特の薬品くさいにおいも納得いく。というよりこの部屋以外に薬品くさい部屋なんてあるのだろうか。
もぞもぞと布団からでると、なまぬるい空気が手をかすめる。
ベッドからたつと、頭がグラリ、と重かった。
シャッとカーテンをひき、養護教諭と目がった。
「八芝君、目がさめたのね。 もう早退しなさい、荷物は勝木君が全部もってきてくれたから。」
「はぁ・・・。」
「熱が結構高いの。インフルエンザも流行ってることだし・・・早めに帰るべきね。」
「ありがとうございます・・・じゃぁ、かえりますんで。」
勝木はずるずると俺をひきずり、この保健室まで運んできてくれたらしい。
それから教室に戻り、俺の荷物をまとめて、ここまでもってきたとか。
『親御さんには連絡してある』と言われたので、もう少し保健室にいることにした。
普通にすごしていたら普通に授業をうけて、普通にこのあと休み時間がまっていて。
俺はどうでもいい当たり前のことを考えた。
そのとき、ポケットの中のケータイがなる。
「ありがとうございました。」
「はい、気をつけてね。」
礼を言って俺は学校をあとにする。
車に乗り込むと睡魔がおそってきた。あぁ、本当に風邪をひいたみたいだ。
と、寝る前に。
俺は勝木に感謝のメールをいれておこう、と思った。
『ありがとな。』
体がけだるく、それ以上の文章はうてない。送信完了の文字を見て俺は眠りについた。