cold1
ストーブがついているにもかかわらず、冬の教室は寒い。
次の時間が移動教室だったので、俺は八芝と一緒に行こうとしたが、どうにもこうにも寝ているようなので、別の友達と向かった。
廊下にでると寒さがいっそう身にしみる。
スライドを見るから、という目的だけで寒い廊下を歩かされるこっちの身にもなってみろ。
廊下の突き当たりの教室にはいり、暖房がついていることに感謝した。
トイレにいきたくなったので、教科書とかを机において、また寒い廊下にでた。
すると前方から八芝が歩いてきた。
「あ、八芝。」
いつものように手をあげたが、今日は返事がなかった。
といより、足取りもおぼつかない。
「大丈夫か?」
「・・・」
聞いてみるが返事はない。
なんだか機嫌が悪いときの目をしていたので、そのまま俺はトイレに向かった。
トイレに入ろうとしたその時だった。
ばさばさ、と教科書の散る音。
どた、と人の倒れる音がした。
「八芝!?」
見ると青白い顔をした八芝が後ろに倒れていた。
「八芝!おい、八芝!」
「・・・っ・・・」
声をかけるが返事がない。
苦しそうだったので、額に手をあててやると、ひどくあつかった。
「ちょ、おい!大丈夫かよ!どーしていわねーんだよ!」
俺はあせった。とりあえず保健室に運ぼうと思った。
八芝の肩をとり、ずるずると俺より背のある八芝をひきずる。
保健室までがとても長く感じた。
歩いているうちにチャイムはなり、どたどたと生徒が教室に入る音がする。
あぁ、授業なんてどうでもいいから、はやく八芝を保健室につれていかねば。
その一心で俺は歩いた。