ここは廊下です
渡り廊下はどうして寒いのだろう。
校舎と校舎をつなぐ渡り廊下。外にむき出しになっているのだから、寒いのは当たり前。
コンクリートに囲まれた廊下も寒い。
コンクリートに囲まれた廊下は寒いというより冷たい。
渡り廊下は寒い。
遅刻決定、勝木はのんきに渡り廊下を歩いていた。
教室に鞄をおいて、必要な教科書をとる。
2限目は移動だとかなんだとか、言っていたなぁ、と思い出す。
教室に入ると誰もいなくて正直ぴっくりした。
遅れてしまったのだからなるべくさぼろう、と思いのんびり渡り廊下を歩く。
渡り廊下ならあまり他の人に見つかる心配はない。まして授業中だ。
さぁ、廊下も終わり、という時にこれまた遅刻してきた八芝が見えた。
「八芝、ち こ く。」
「お前に言われたくない。」
八芝独特のあのイライラした不機嫌な目でギロッとこちらを見てくる。
そんな視線、慣れっこ。
「やーしーば。」
「なんだよ、うぜー。」
「ここで待ってる。」
「さぼりたいだけだろ。」
あぁ、図星。
「お前と一緒にいたいんだよー。」
「そんな棒読みで言われても困るなー。」
棒読みでかえされた。
「やーしーば。」
「もううぜーはやく教室いかせろ。さみー・・・」
「じゃぁ。」
あったかくしてやる。
勝木のあたたかな唇が冷ややかな八芝の唇に触れた。
「八芝、待ってる。」
「・・・はいはい。」
寒い廊下に今はひとりぼっち。
もうすぐあたたかな、大好きな人がやってくるから大丈夫。
:)ここは廊下です