繰り返す毎日とさようなら

「好き。」
「は!?」


部活も終わり、いつも通り駅のホームで八芝と電車をまっていたとき。
八芝は時々主語がなくなるから困る。

「何が?」
「お前が。」

「・・・」

しばしの沈黙が訪れる。あぁ、やばい。体中の体温があがってくる気がする。
俺は自分の足下とずっとにらめっこ。

「え・・・どういう意味で。」

俺のとらえてる意味と同じだろうか。

「恋愛対象、として。」
「・・・っ!」

やばい。さらに体温があがる気がする。
どうしようどうしよう。もしここで『冗談でしたー』なんて言われたら。
俺も同じ思いなのに、『冗談』って言われたらどうしようどうしよう。

「お、俺も・・・好きだぜ?」
「まじ?」

眼鏡の奥の八芝の瞳が大きくなる。
あー、『冗談』って言い出せない雰囲気?あー・・・俺失敗した?あー・・・
そう思うと急に体の体温がさがってきた気がする。

人の少ないホームにぴったりの心が俺の中におりてくる。

「あ、何・・・冗談、だったんだよな、わり。」
「ちげーよ、俺は冗談で好きなんて言わない。」
「いいって、いいって。気にすんな。」

俺はぺしぺしと八芝の肩を叩く。今度は八芝が困り顔だ。

「なぁ、ホントに好きなんだけど。」
「え?」
「はぐらかすなよ、なぁ。お前も俺のこと・・・好きなんだろ?」
「あ・・・いや、その・・・」

困る困る困る。カンカン、と踏切の音がする。あぁ、人が増えてきた。
人が増えるのと同じように俺の体温もあがる。

「・・・」

しばしの沈黙。電車が止まる。人がおりる。

「・・・きだぜ。」
「え?」
「好きだぜ・・・大好き。つきあえよ、俺と。」


俺はきっと人の足音や話し声で 聞こえていないだろう、と思い八芝に言ってみた。
はっきり聞こえていたようだが・・・

「これからよろしくな、大好き。」


なぁ、だから今度からちゃんと主語をはっきりさせてくれよ。

:)繰り返す毎日とさようなら




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ByFortune Fate

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