My Hair


「おはよ。」

「あ、おは・・・って頭どうした。」

午前8:28。始業まであと数分のところで、八芝が入ってきた。

「どうした、って・・・きった。」
「あんまかわんねーな。」
「かわらないようにお願いします、って頼んだからな。」

それにしても・・・ずいぶんぺちゃんこな頭だ。
いつものほどよくワックスやらなんやらでいじってある頭と違い、つるんとしたかわいらしい頭。

「なんか、頭ぺたんこだな。」
「寝坊した。」

八芝はぽりぽりと頭をかく。

「まぁ、寝坊しても俺は髪の毛ぐらいはちゃんとしてくるけどな。」
「髪の毛セットしてて遅刻するよりはマシ。」

勝木は痛いところをつかれる。
勝木は何度が、寝坊したにもかかわらず髪の毛をいじって、のんびり登校してきたことがある。


キーンコーン・・・・

始業のチャイムが鳴り響く。


「やべぇ、今日のお前かわいい。そのぺちゃんこ、たまにはいいな。」
「あとでおぼえてろよ。」


寝坊して少し機嫌の悪い八芝の目が眼鏡の間からのぞいた。





(髪型なんか関係なく好きなんだけどな・・・)
(・・・なんかいったか。)
(なんでもございませーん。)





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