▽ストライク・ゲーム


冬が近づいてきて、日が短くなった。
公園の予想外に冷たいベンチでココアを飲む。まだコーヒーを飲むような歳にはなれそうもない。
「あーさみぃよ…」
ココアから口を離し、佐治はつぶやく。隣の吏人も応じてかココアから口を離す。
「寒いッスねーもうすぐ冬ですよ。」
「ほんとだな…あー受験か。あー嫌だなーあー。」
あーあーと佐治が小さくうなだれる。
「応援してますよ。」
残っていたココアを飲み干し、吏人はベンチを離れる。ベンチから離れた部位に寒さが染み込む。
「あ、俺の缶も!」
空になった缶を吏人めがけて投げる。ナイスキャッチ。
顔を上に向け、空を見上げる。夕焼けが少しずつ夕闇に変わりつつあった。吏人がこっちにきたら今日はもう帰ろう。明日も学校だし。
「お待たせしました。」
「ん。わりぃな。そろそろ帰るか。」
「そッスね。またボーリング行きましょう。」
首を縦に動かしベンチから離れる。予想外に冷たかったベンチはいつの間にやら少し熱をもっていた。

公園を離れ、大通りにでる。ここでいつも通り二人はさよならを告げる。
「もう受験終わるまでこうやって遊べねぇかも…」「わかりました、受験終わったらたくさんデートしましょうね。」
デート、って。佐治は苦笑する。吏人もつられてはにかむ。
「あ、青だ。じゃぁな。」
左手を挙げ、横断歩道へと踏み出した佐治に一台のトラックが向かってきた。
感じるぬくもり
散らばる金髪
See you

今日のゲームはストライク?それともスペア?それともガーター?


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前々から分岐する話を書いてみたいなーと思って挑戦してみました!
また機会があれば挑戦したいです。
2012.11.17