▽心の赴くままに(神刻) 刻阪に勧められ吹奏楽部への入部を俺は決意した。 が。 今のところ、決意した止まりだ。 なんとなく入部届けを出すのがこわくて、ずるずるときてしまっている。 俺が入部届けを出さない間に俺と刻阪の関係はずいぶんと進んだ。 まったく知らなかったやつから友達になり果てには恋人にまでたどりついた。 恋愛も心が見えたってあんま役に立たなったな… そんなわけで今日は刻阪に誘われ、繁華街へ赴くことになった。いわゆる放課後デートってやつである。 「んで?今日どこ行くんだ?」 「楽器屋。リードきれたし買いたくてね。」 「ふーん…」 楽器屋か。俺にとってはついこの間まで無縁だった場所。よくよく考えてみれば、管楽器売り場というのは行ったことがない。 「神峰はさ、管楽器売り場初めてだろ?」 俺の一歩前を行く刻阪が振り向く。 「初めてだな。」 「じゃぁさ、神峰が入部したらやりたい楽器を考えようよ。」 「あー…お前と同じのでいいよ。」 なんたって俺は楽器初心者だ。そんな管楽器をぱっと見たところで決まるわけがない。 それなら恋人に楽器をレッスンしてもらえるサックスが手っ取り早くていいだろう。 「いや、神峰。管楽器売り場を見たら驚くよ。それこそお前の心が震える。」 なんだそれ。ただ楽器が並んでるだけだろ? 並んだ楽器に心が震える?そんなわけねーだろ… 刻阪はきらきらとした心を抱え、俺はもやもやとした心を抱え楽器屋の入り口をくぐった。 ---- あーおさまらない\(^O^)/続きます多分! 管楽器売り場は超魅力的! 2012.10.14 |