▽血みどろマイダーリン


「えっ…」
その日はたまたま進路相談だとかで俺は部活にくるのが遅くなってしまった。
芝生のグラウンドでは吏人なしでも練習に励む面々が見えた。
最初の頃は練習メニュー考えてくれよ、とか言ってたのが懐かしい。
肝心の吏人の姿はグラウンドには見えない。俺は部室のドアを開いて驚いた。
漂う悪臭。目を塞ぎたくなるような光景。
血を流してうなだれている吏人。
俺は何もできなくてただその場に立ち尽くしていた。
あまりの悪臭に頭がくらくらしてくる。
吏人は、生きているのだろうか。それとも。
部室の入口から一歩、また一歩と、俺は歩みを進める。

吏人がいなくてもこの部活は機能し始めていた。
最初はあんなに遠かった吏人までの壁もいつしか全員が同じ高さまで、あるいは乗り越えてしまっていた。
吏人はそのことをどう思っていたんだろう。
もしかしたらすごくうとましかったのかもしれない。すごくつらかったのかもしれない。
キャプテンだってなんだって全部一人でやっちまってさ。

吏人、どうして死んじまったんだよ。
お前がいなくても部活は機能するけど俺はどうしたらいいんだよ。

血にまみれた吏人はまだ少しあたたかい気がした。



----
なんかこの前も似たような話だったなー
一応吏佐のつもりです…
2012.9.26