▽雨の日に君は(降春)


*大学生パロ


サアァァ――――
血のひく音がする。身体中から血液が抜けて、空っぽになりそうな感覚。
サアァァ―――…
身体中から血がなくなっていく。ふわふわする。
ジリリリ…
目覚ましがうるさく鳴る。止めることすらもうできない。

ザアァァ――――
目を覚ましたのは昼前だった。日の光の差し込まない室内。うねる髪の毛。いつもと違うにおい。
今日の天気は、雨。
雨が降ると、どうにも体調が悪くなる。
今日みたいに起きれないほどしんどくなる日もあれば、軽い頭痛程度ですむ日もある。
毎回毎回、なんらかの不調を起こす。
今回はどうにもできないほどつらい。
まず食欲がない。そもそも起き上がる体力もない。今立ち上がったら確実に倒れる。
頭痛、めまい、貧血。どうしてこうなったのか、大学生になった今もわからない。
もちろん授業は遅刻。それどころか昼からの授業に行ける気もしない。
ブー、ブー、と携帯のバイブが鳴る。この鳴り方は電話だ。ベッドから手を伸ばし、手探りで電話にでる。
『もしもし、降谷君?今日これそう?』
「無理そう…」
ざらざらとした電子の波を越えた音すら気持ち悪い。普段は感じない不快感を覚える。
『とりあえず午前の授業、資料とかは貰ってあるから。』
「うん…」
『どう?何か食べた?』
「…」
食べてない、と口にしたいがもう体力も限界らしい。何も反応できない。
思考がぼーっとする。電子の波の向こうからは僕を呼ぶ声がする。

『降谷君、お昼俺持って行くから。その一瞬でいいからなんとか起き上がってね。』
「わかった。」

そこから先はいまいち記憶にない。
目が覚めたら夕方だった。雨はもう降っていない。
胃の中は空っぽではなく、何かが詰まっている。



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もうすぐ梅雨ですね…
ダイヤ、アニメ化おめでとう!

2013.5.13