▽ごみくずホリデー(降春)


*同棲降春


「今日は天気もいいし、どこかでかけない?」
特別遠出をするわけでもなく、近くのショッピングセンターへとでかけた。
「ショッピングセンターに行くのに天気関係あるの?」
「んー、ある。」
助手席に座る小湊君は随分ごきげんだ。ショッピングセンターの駐車場は休日ということもあり、混雑していた。
「どこかあいてる?」
「あ、あそこあいてる。」
彼が指差す方には確かに空きが見える。駐車場内の標識に従い、空きスペースへと駐車をした。
「はー近いはずなのに、結構かかったねぇ。」
助手席から降りた彼がのびをする。確かに駐車場だけでなく、道路も非常に混雑していた。
僕もエンジンをきり、降りようとする。
降りた途端、感じたことのないめまいに襲われた。
「あー、降谷君はさぁ…」
エスカレーターの方へ歩く彼がぐらぐら揺れる。気分も悪い。
「ねー聞いてる?」
くるり、と彼がこちらを向くのがわかった。もう立っていられない。冷や汗が止まらない。
「降谷君!?ちょ、ちょっと大丈夫!?」
「…」
反応したいのに、うまく反応できない。大丈夫じゃない。どうにかしてほしい。目を開けられない。開けると気持ち悪い。
周りさざわつきがかなり鬱陶しい。小湊君の体温すら邪魔に感じる。あつい。汗が止まらない。
「降谷君!今救急車呼んでもらったからね!」
うっすら目を開け、小さく頷いてみる。反応を示した僕に彼は少し安心したようだ。
ぴーぽーぴーぽーとサイレンの音が鳴り響く。どうやらお迎えがきたらしい。
「降谷君!救急車きたよ!」
「…」
君との休日、こんな日にしてごめんね、と言いたかったが、僕は救急隊員に担がれその言葉を吐くことはできなかった。



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先日救急車を初体験してまいりました。
顔面蒼白降谷くん。なんか尻切れトンボ感が…
2013.2.21