▽毎日が待ちきれない(御沢)


沢村とのデートは好きだ。今まで何人が女とも付き合ってきたが、こいつとのデートが一番好きだ。
クリスマスムードで溢れかえるショッピングセンターに男二人組は少し浮いていた。てでもそんなのだって全然気にならない。沢村といたら周りの目線だって評価だって気にならない。
沢村は時々少しは人目を気にしろよ!と言ってくるが。
「みゆきー見ろよこれ!」
沢村が立ち止まっているのは、輸入品の店だった。へぇ沢村でも輸入モンに興味あったりするんだ。
「なんか今失礼なこと考えてねぇ?」
いやそんなことない。にへら、と笑顔を貼り付ける。
「んでさ、これ!日めくりカレンダー!」
「へぇ…でもこれ24日までしかねーぞ?」
沢村が見せてきたのは、サンタクロースが描かれた日めくりカレンダー。日めくりというよりはカウントダウンに近い。
「だからいいんじゃねーかよ、わかってねーな…」
ぶつぶつと沢村は文句をたれる。あぁ、今年のクリスマスも俺ら一緒だよな。いや、今年も、かな。来年だってあるんだし。
「いーんじゃね?」
「だろ!?俺これ買う!あー、俺の部屋においてたら倉持先輩になんか言われそうだしよ、御幸の部屋でもいいか?」
「だったら俺か払うよ。」
「いい!俺が欲しいから!」

「これさ、日めくりだろ?」
クリスマス色をした紙袋をぶらさげながら、寮に向かう。あれから俺も少しだけ買い物をした。
沢村の問いかけに目線を合さず頷く。
「だからよ…クリスマスまで御幸の部屋に通えるな、って…」
「え?」
なんというか予想外というか、想像していなかった答えにきょとんとしてしまう。沢村はマフラーに顔を埋めたままだ。
嬉しい。素直に嬉しい。
「毎日まってるからな。」
「おぅ。」

あぁ、ほんとにこいつとのデートは予想外がたくさんあって、ほんとに楽しい。



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輸入物のお店で見かけたのがすごく可愛かった!

2012.12.10