みんなでひとつ
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暖かい陽気に長屋の自室で障子を開け放ってほかほか日光を受けながらゴロゴロ畳に寝転がっていつものことながらふらふらやってきた双忍コンビを頬杖つきながらなんともなしに見てみる。いつもなら一緒になってやってくるい組コンビは実習でいない。部屋が心なしか広く寂しいような気がした。



「ほら暑苦しいから離れて三郎」
「はははそんなこと言って、恥ずかしがりやさんな君にもうわたしメロメロ」
「んー、不快だから人の腰に擦り付けてるナニ潰してしまおうか」
「すいませんでした」


謝ってすぐにまた雷蔵にくっつく三郎にあぁもう仕方ないねと苦笑いするのはいつものこと。座って本を開いた雷蔵の腰に腕を絡めて三郎は満足げだ。三郎は雷蔵の前だと犬っころのようだと思う。かまってかまってと尻尾をふりふり、忍務のときはまるで狐のように敵を撹乱翻弄するのに。それでも雷蔵一直線なところは変わらないけれど。雷蔵は三郎の宝物なんだろうとよく考える。守られるだけのやつじゃないのは俺も三郎だって知ってるけれど、それでも三郎なんかはからだが勝手に動いてしまうらしくてよく雷蔵に怒られていた。傷から血を吸出した時についた血液の残る唇をぬぐいもしないで三郎の胸ぐらをつかんだまま怒鳴った雷蔵。そのあとから忍務において雷蔵が迷うことはなくなったし、三郎に庇わさせなくなった。

雷蔵は三郎を否定することがない。もちろん叱ったりはするが頭ごなしに怒ったりすることは絶対にない。どうしてそこに至ったか、なぜそんなことをしたのか。全部聞いてそれから静かに言葉を紡ぐ。そして最後に笑って許すのだ。もう、しょうがないね三郎は、なんて言いながらふわふわ笑いながら親が子にするような(まるで世界のすべてから子供を護るような)抱き締めかたをして一緒の布団でねむる。獣のような二人が俺はたまらなく愛しい。三郎が見せるかおは雷蔵のもので、雷蔵のすべては三郎のもの。そしてそんな二人が俺はだいすきで。だから俺は。





「俺たちが来ることなかったな」
「そうだなぁ、ここまで毒が広がっていればこの城ももうもたないだろうし」
「それにしてもこんな強いもの使わなくったって、な」
「まぁはっちゃんもそれだけ怒ってたんだろ」
「自分がいたのに守れなかった、か」
「充分はっちゃんはやってたしあの二人はそんなこと考えてるって知ったら怒るだろうな」
「だねぇ、俺たちのはちになにしてくれてんだか」
「本当になぁ。あ、まだ生きてたんだ」



暗転。






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5年が相互依存。




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