DISTANCE | ナノ




U×N(ロバ丸) 友情系,死ネタ



――離れてもたったひとつの記憶さ。


【DISTANCE】


幼馴染でもあり、大親友でもあった雄一が病気で亡くなった。
“がん”だった。


雄一は、俺が病院に見舞いに行くと苦しそうな顔をしながら

『俺たちが出会ったことが間違ってた』

と言っていた。


でも…そんなことない。
俺は雄一といれてすごく幸せで楽しかった。


雄一の声がする。

俺を呼んでいる声がする。

ずっと…そばに居てくれたのに…


「ふっ……ゆ、いちっ。戻って…来てくれよ。いつも、そばに…いてっ、くれた
じゃないか。お前がいないとっ…寂しい、じゃん」


雄一がよく言っていた。

『泣いた分だけ必ず力になるから…必ず、力に変わるから』


本当??今、俺が泣いてるのも力に変わるかな?


『あと、旅立ちは止められないし…どんなに辛くても夢だけは消せないから』


病院に入院してる分、人一倍勉強していた雄一の言葉一つ一つはとても
難しいものだった。

あの時俺は、鼻で笑って過ごしちゃったけど…

雄一は解ってたのかな??


夢だけは消せない。

なら、俺は雄一を苦しめた病気を治す薬をつくるために医者になろう。

ガキくさい決め方かもしれない。


でも、今ならその言葉の意味がわかるから。

だから…サヨナラは惨めな態度で言わせてね。


俺と雄一は1筋の光でつながってるから…

すると、まるで雄一のうれし涙のように雨が降ってきた。


“竜也…ありがとう”