▽ 我慢できるわけがなかった、水着話 / かげやち
※えろというよりかは下ネタといいますか、若気の至り的な話。笑
影山は走っている。
まあ、体育の授業中であるのだから走れと言われれば、走る、当たり前だ。
何より走りたかった。いや体力向上もあるけど頭をからっぽにしたかった。
そして何より心底感謝した、ーーー水泳が男女別であるということを!
(谷地さんの、あんなん、見せられるか!!!!)
心の中で吠えながら影山は走る。
…因みにベストタイムを叩きだしたのは怪我の功名かなんなのか。
彼曰く、−−−谷地さんの、あんなん。
男女別であるならいつ見たというのか。
(しかも影山は3組、谷地は5組で授業が一緒になることは奇跡が起きない限りない。)
そりゃまあ、授業前である。
谷地仁花は賢いし努力家ではあるがいかんせんおっちょこちょいというかたまーに人とずれたところでやらかしてしまう。
今回はそれが授業前だったとまあ、そういうことだ。
対して影山は愛飲しているぐんぐん牛乳を買いに来て教室へ帰る途中だった。
そんなとき、二人はあった。
しかも、谷地はかなりテンパって来たのかまさかの水着姿のままで。
「?!!ちょ、やちさ、ど、な、え?!」
いつも怪しい影山の言語能力もどうした、なぜも言えないほどに低下する。
対して谷地は涙目でテンパっているのか味方を見つけた!とばかりになんとまあ常では考えられないが、抱き付いてきた、訳である。
まあ、言い訳をするなら影山だって健全な男子高校生な訳でそれが水着姿の女子に抱き付かれたとなればびっくりするし慌てるしテンパる。
ちなみに抱き付かれた瞬間の彼の感想は(やーらけー)である。…小学生か。
「か、かげやま、く、ど、どしよっ」
「え、な、ちょ。やちさ、ととととりあ、おちつ、」
「タオル忘れちゃったのー!!!!」
「…は?」
必然的に見下ろす角度から見えるやわそうな胸とか、それが実際に自分に当てられててほんとにやわこいとか、なんかいいにおいするとか、ちかすぎだろとかぐるぐるしてたのが一瞬で吹き飛んだ。
彼女は、今、なんと。
「た、タオルね、教室にね、忘れちゃって、でももうすぐ授業始まるし取りにいかないとって、着替えてる時間ないし、」
「〜〜〜〜!!分かった!」
「…え?」
「俺が、取りに行く。谷地さんの席、何処っすか」
これ以上あの姿で校舎内をうろうろなんてさせてたまるか!とばかりに席の場所を聞き出して影山は飛び出す、部活と同じ、いやそれより少し早いかもしれないペースで5組につき彼にしては恐ろしく要領よく彼女の席を突き止めてタオルを奪還。
―――普段の勉強もこれくらい要領よくできればいいものを。
「こ、これ、で合ってる…っすか!」
「あ、あ、ありがとうございますー!!このご恩は一生忘れません!」
「いや、大げさ…あ」
「?」
「谷地さん、」
「な、なんでしょう!」
「俺、役に立ったっすか」
「も、勿論であります!」
「じゃあ、ごほーび、もらってもいいすか」
「?ご褒美、ですか?…勿論、私に出来ることであれば!」
「谷地さんにしか、できねっす」
「…そうなの?それっとどういうーーー」
瞬間のことだった。水着の開き。胸のあたり。
谷地がああ、髪の毛くすぐったいと思った刹那ーーがぶり。そんな音が彼女には聞こえた気がした。
噛まれてべろり、と舐められ、仕上げとばかりにちゅう、と吸われた。
谷地が総毛たって腰砕けになるかならないかのところで影山が離れる。
「…っあ!」
「…ん。これでいっす。」
「…へ、うえ?!」
「ねえ、やちさん」
「ふ、ふぁい!」
―――俺以外にそんな姿見せたら、次はもっと我慢せずに喰うっすよ。
その姿に谷地は「わ、解りました」と(おそらく深い意味を分からぬまま)答えていた。
ホント、谷地さんのあんなん、他の、やつみたら、ぶっ潰す!
自分でもよくわからぬ欲求を抱えて影山は走る。
それは独占欲とかそういったものなんだが――彼はいつ気づくだろうか。
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