▽ 寂しんぼ暴君に愛の言葉を。
※雰囲気エロで。これも大学生以降。
巷では彼が丸くなった、とか少し優しい顔が出来るようになったと言われますが。
いえ、それにはとっても賛成します、でも知って欲しかったような知られたくなかったいうか、ああ、おこがましい話ですけど私だけが知る権利を欲しかった、いやでも言いふらしたかった気もする。
彼はこんなにも優しい顔で笑いかけてくれるんです、って。
…ん?あれれ、話がずれた気がします。…閑話休題。
とかく優しくなったとか成長した彼ですがたまに、いえ、夜に?
王様というか、独裁、というか、なんというか、野生の捕食者といいますか。
とにかく、牙をむくのです。
そう、私が分からないタイミングで肌を食まれて、甘噛みから、本気で噛まれ。
ひい!と悲鳴を上げた時にはもうベット上に放り投げられてしまっているので気づいたら天井か彼の顔しか認識できないのです。
「…やちさん、」
なんですかとここで返事しても無駄なのは最早何回も経験したので、返事の代わりに彼の頭をそっと撫でます。
大丈夫、ここにいるよって少しでも伝わればと。
撫でたのを合図の様に彼の唇が喉元に寄ってきます。
かぷ、と噛まれて、唾液をたっぷりと纏った舌先で舐めあげられて、ぞわぞわとした気持ちが駆け上がる。
けど声は、あげない。だってはしたない。
嫌われるのは嫌です、好きになって貰えたのが奇跡みたいな確率なのにそれを自ら放棄するだなんて。
でも舐めあげた後にやちさんの、あじとか言うの本当にやめて下さい爆発していなくなりたい…!!!
汗とか、そんなのがたくさんあるのに。
そのまま鎖骨を下って申し訳程度にある私の胸に到達する。
ぽふ、と顔を埋めても、ないよ、ないんだよ影山くん…!!
「あんしん、する、ないとかじゃ、ない」
あれ、言葉に出てたのかなと首を傾げれば顔に書いてあるとお返事です。
…お恥ずかしい。
なあ、と言うのでこんどはなあに?と返事をする。
「もう、他のこと考えるな」
「ほか?」
「おう。谷地さんは俺だけ考えればいい」
「…もうとっくにそう、ですが…」
「…じゃあ、もっと考えろ、俺だけ」
ほら、私の独裁者はそう言って私の身体を好き勝手する。
バレーで使う指が、その奇跡の指が縦横無尽に這い回って全部を暴こうとする。
ひ、とかあ、とか声にならない声をあげさせる。
それを見て酷く満足そうな王様が網膜に映って、私は思う。
…そんなことしなくても全部あなたのものなのに。
だから私は言ってあげるのだ。
「かげやまくん、」
吐息交じりの、あいしてる、を。
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