小説 | ナノ


▽ 蒸し暑い夜の誘い





※事後からの。大学生以降。


蒸し暑い夜だ。


一応クーラーはかけているけど暑い。
不意に、額から汗が流れ落ちて顎を伝い、彼女の肌へと落下した。
息を荒くして上下する彼女の白くてささやかな(気にしてるから言わねー、…けど充分やらけぇのにな)胸をつるりと自分の汗が流れてくのを見るのは、なんか、アレだ。
そのまま流れていく俺の汗を何となく見ていたら、彼女の汗と混じりそのまま落ちていく。
汗も、1つになったとよく解らんカンガイ(字、わかんねぇ)に浸っていると「…かげやま、く…?」と舌っ足らずの声が俺を呼ぶ。
顔を向ければ眠たさと何かの合間をさ迷ううっとりした表情の彼女が見える。
どうしたの、と問う彼女はさっきの余韻を残したまま目は潤んでて、何より白い肌に俺の噛みついた痕が沢山見える。
食い散らかした自覚はある、あるけど。
…汗がいけねんだ、流れたり混じったりすっから。
首筋に顔を埋めてべろ、と舐めあげた。
うひ?!と色気ねー声と塩味が口に広がる。
そのまま汗の軌跡をなぞる様に首筋から下りていく。
噛んだり、舐めたり、吸ったり。
しょっぱくてやらかくてなんつーか、…うん、谷地さんのアジ」。
そうして胸まで辿り着くと彼女が悲鳴を上げた。
…どうせなら可愛い泣き声が良いと胸の頂を甘噛みしてやる。
そうすれば途端にひゃん、とやわらかくて甲高い声が彼女から漏れて、あぁやっぱり鳴き声がいいと思う。


「ひゃ、やぁ、かげやま、く、きょう、もう…!」


しない、って言いてぇんだろうなあと頭の片隅では分かってる。
…けど知ってっか谷地さん。
今してるその顔は逆効果で、いわゆるアオっているって。
だから、な。


「…ごめん、欲情した」


耳元で慄く彼女に答えを聞かないオネダリを吐息と1つ吹き込んだ。
…蒸し暑い夜はまだ続きそうだ。





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