小説 | ナノ


▽ 捕食者への目覚め





※ある日の一場面。高校生。



影山の視界の端に黒い星に結われた金色の尻尾がゆらゆらとちらついた。
その刹那に過るのは(うまそう)というものだ。
口いっぱいに頬張り、噛みついたらどんなに甘い味がするだろうかと思考を辿っていたら「ふひゃあ?!」と声が影山の首の下からあがってくる。
それは頭を掴まれた谷地があげたものでその悲鳴で影山は谷地の頭を掴んでしまったと自覚する。
「…わり」と謝った時に見えた谷地の涙目に影山はせり上がる何かに揺さぶられて胸がいっぱいになる。
けれどその正体を影山はまだ知らないままだ


(お砂糖とスパイスと素敵なものをたくさん詰め込めば女の子になる、と捕食者の男の子は生まれながらに知っている)





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