▽ 谷地さんに影山くんが悲しげに耳に誘惑のキスをされる
※高校生から大人へと。
烏は羽ばたく。殻から出て、外を知って、広い空に憧れる、羽の使い方を知る、…飛び立つ。
当たり前で自然のことだ。そこになんら不都合なんてないし、そうならなくちゃいけない。
けど臆病者の私は彼と一緒のところへは羽ばたけない、きっとまるで同じ空なんて見れないんだ。
酷く当たり前のことを『寂しい』という気持ち一つで堰き止めてはいけない。
でも、最後のあがきとして私は貴方が好きだという気持ちくらいは覚えていてほしいから。
体育館の入り口にそっと座り込んでいる彼に近づいて(別れを惜しんでいたのかな、やっぱり大きい背中だなあ…頼もしい)、後ろからぽすんと抱き付いた。
「?!!や、谷地さんっ?!」って慌てた隙に彼の耳にちう、と吸い付いた。
(貴方が私を忘れないように、精一杯のユウワクを致しましょう)
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