街の広場のクリスマスツリーがひときわ煌めくクリスマスイブに、ロコはおつかいを頼まれました。

 片手に硬貨を握り締め、〈ヴリス洋酒店〉を目指します。ケーキに入れるイチゴのリキュールがなくなってしまったのです。ママによると、それを入れないとクリスマスにならないらしいのです。

 路地裏の奥のヴリス洋酒店の前にたどり着くと、ロコはお店に明りが灯ってないことに気付きました。扉を何回、叩いてみても返事はありません。

「どうしよう」

 ロコは呟きました。
 この街で酒屋はここだけなのです。

「僕の家だけ、クリスマスなのにケーキがなくなっちゃう」

 そう思ったら途端に悲しくなってきました。帰るわけにもいかず、ロコはお店の主人が帰って来るまで待つことにしました。
 扉の前に座り込み、いつ現れるかわからない主人を待つロコの心は不安で張り裂けそうでした。
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