ぼくは毎日、学校の帰りにヴァイオリンの入ったケースを片手に、電車に乗る。

「やぁレン、今日もギターのおけいこかい?」

 駅で電車を待っていた僕に駅員のおじさんがいつものように話しかけて来た。
 ぼくたちはいつも色々な話をする。二時間に一回しか電車が来ない田舎の駅だから、駅員さんも乗客も暇なんだ。ちくたびれて寝てしまった人もいる。その点、ぼくたちは幸せだ。

「おじさん、ギターじゃなくてヴァイオリンだよ。いつも言ってるじゃないか」

 ぼくは少し口を尖らせて言った。

「悪い、悪い。昔、ギターを習ってたことがあってな。つい、間違えちゃうんだよ」

 おじさんは照れたように頭をかいた。

「おじさん、ギター習ってたの?いつ?子供の頃に習ってたの?」
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