「ねぇ、何をしてるの?ブリジット」
大好きな大好きなブリジット。
でも、私にはあなたの事がよくわからないわ。
あなたとはじめて出会った日、あなたとはけして分かり合えないと思った。
考え方も価値観も生きる世界の何もかもが、
私とは異なっていたの。
人は初対面の相手に対し、お互いの未来を想像する。友達になりえるか、恋人になりえるか、もう二度と関わることはないだろうなどと。
私はどんなに仲良くなろうとも、お互いのことを話そうと、身体を触れ合いじゃれ合おうとも、あなたとは真の意味ではけして分かり合えないと思った。
私は醜すぎたし、
あなたは美しすぎた。
それはとても悲しいことだけれど、
それでもいいの。
大切にしてくれなくてもいい、
私を見てくれなくてもいい、
私はあなたの 揺るがない 世界に恋している。
それだけで。
何人たりとも犯すことの出来ない領域にあなたは生きていて、
それは変わることがない。
世界はいつだって永遠を求めている。
変わらないということがどんなに残酷なことかも知らずに。
けれど、あなたはちっとも変わらないの。
まるでもう完成してしまった芸術作品のように、
ねぇ、簡単に心なんか開かないで、私だけでなく他の誰にも。誰にも汚されないで、他の世界にけして染められたりしないで、孤高のままで、あなたはあなたの宇宙の中で死んでいって。
そうしたら、あなたの大好きな百合を一輪、あげるわ。
たった一度だけ自分のことを話してくれた唯一知っているあなたのこと。
最後に、愛をこめて──。
(何をしてるの?ブリジット(Bridget)/了)
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