僕の眼が捉える物事の凡ては蜃気楼、まるで掴めない昨日の記憶のよう。
 このようなことを考えはじめたら最期、何時か僕の脚が踏み入れる先は必ず霧の中。

 もしかしたら、僕が切望し毎夜のように夢見て抱いているものは手に入れることは不可能なのかもしれません。もしくは、本来在るべき目的地とは全く、正反対の見当違いの方角に走っているのかもしれません。けれども、一体誰が正しい道を知っているというのでしょう。其れを正しく知る力が僕に有ったならば、こんなにも悲しみに憂い憎しみを愛し頬を濡らし、途方に暮れる必要も無かったでしょう。

 僕は間違って居たのでしょうか。けれど、情けないことに僕には引き返す勇気さえ持ち合わせて居らぬ臆病者なのです。そして、間違いを隠すことで自分を守ろうとする偽善者なのです。

 君の可愛い唇が吐く魔法の息が僕を夢の国へと誘って、僕は今宵も淡い夢と甘い幻を覗るのです。
 何時の日か、苦しみ喘ぐ体躯の渇きを癒せるのだと信じて。

※ミラージュ…蜃気楼・幻覚

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