白雪姫のように――、

 雪のようにいつか消えてしまうような白い肌と、闇色の魔力を携えたような黒髪。正に、脳髄を刺激する程の美しさを持つ彼女は、1ヶ月前、生涯愛すと誓った掛け替えの無い片割れを失った。

「また、死ぬ気だったの?」


 彼女が自殺未遂をしたのは、通算すると、今月に入って三度目だ。一度目は流れるような長い黒髪に櫛をさしながら、手首を切った。二度目は胸紐を締め上げ気を失った。

 三度目は、

「また、奈央くんに助けられちゃった。あの人の好きだったアップルパイを食べて、死にたかったの。ネットでね、死ねるって薬を売って貰ったのよ。だから混ぜてみたの」

 そう言って、青ざめながらも悪戯っ子みたいに楽しそうな笑顔を見せる、彼女。それを見て、僕の底に眠る何かが疼く。

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