『パパ、何の夢見ていたの?』

 僕が目を覚ますと、娘の幼いリリィが顔を覗き込み心配そうな面もちをしていた。

『そうだなぁ…リリィの夢だよ』

 実を言うと、日頃の疲労がたまっていたせいか、夢の内容なんてからっきし覚えていないし、そもそも夢自体、見ていたのかすら怪しい。けれど、そう言えばリリィが喜ぶんじゃないか、となんとなく思ったのだ。

『そっかぁ』

 しかし、予想に反し、リリィは更に沈んだ顔をした。

『一体、どうしたんだい?』

『眠ってるパパの顔があんまり幸せそうだから、夢の中から帰ってきてくれないと思った…夢の中のリリィの方が可愛い?』

 そういえば最近、仕事を言い訳にあまり遊んでやれていなかったかもしれない。

『そんなことないさ。今度の日曜日は遊園地に行こう、約束だ』

 僕はそうして、笑顔になったリリィと指きりした。

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