「あかりをつけましょぼんぼりに〜♪」
ついにやってきた、女子たちの祭典。
健やかな成長を祈りましょうなこの行事が茉莉は好きだった。
家に飾られた豪華な着物を着たお雛様、小さな頃から憧れたものだ。
隣に座るお内裏様‥、きっと深い深い物語があったに違いないと妄想してはグフグフ笑う幼少期。
もう素敵な旦那様がいるのさ私、うひひ。
でも‥でも、幼少からの妄想の為に諦められなかった!
って事で広い家の一角を使って七段‥は高いから買えなくて、
三段‥もまあいいか、で結局男雛と女雛のセットを購入。
早々に飾り出したそこを時々こっそり見てはまたもグフフと笑う。
結構入り浸るキッチン。
そこから見えるところが良かったけど油染みが付いたら大変、と意外と細かい茉莉。
廊下に出てこそ、っと毎日覗く。
ああ素敵、今後の結婚生活に対してか、憂いを帯びたような少し緊張したようなお雛様の顔。
隣にはお内裏様。線が細いのに美少年でイケメンで、あ、同じ意味?それでいて芯はしっかり通っててあの腰に刺さってる刀で妻を悪党から守ってバッタバッタと切り伏せては「大丈夫か茉莉」なんて、
違った、「大丈夫か‥‥雛!」雛でいいのか?
とにかくも正義のヒーローさながらに妻を守るの!
「す‥‥素敵デ―――っス!!」
と、叫んだのは一昨日の事。
昨日は違う言葉を叫んでシカマルが飛び出して来た。
叫んだ言葉は確か「ぶったまげー!」だ。
妄想内容としては妻が攫われたためお内裏様が救出に、しかし妻には元々情を交わした相手がいて(←やはりアップダウンがないと、との茉莉の趣向)‥‥‥‥。
それでも諦めきれないお内裏様だったが、愛する妻が幸せになるならと身を引こうとする。(←ぬぉう!諦めないでお内裏様!!By茉莉)
しかぁし!実は妻のその相手はお雛様が受け継いだ土地狙い!
なんとその土地にはそこでしか採れない貴重なものがあり‥(←細かい設定は茉莉のこだわり)、
「お前に雛(←固定。)は渡せない!!」お内裏様は腰の刀を引き抜いて‥‥。
見事相手を打ち負かしたお内裏様にお雛様は「こんな私はあなたに相応しくない」と身を引こうとする。
「あなたの家にもあなたにも‥相応しくないのです‥」と。なんて健気!!
しかしてお内裏様は‥
「関係ない!!」
そう叫んでお雛様の手を引き抱きしめる!!
「きゃーーーーーーーーん!!ステキ!!」
その後に家も位もすべて捨て、お雛様と国を出るお内裏様。
しかし(←どんでん返し大好き)、ふたりには薬師カブトの魔の手が!!
と、なぜか登場したカブト。
茉莉の中ではとびきり悪役な彼が登場したことで「ぶったまげーーー!」。
「カカカ、カブトが!カブトが出てきてそれでそれで!!」
「カブト!?あいつはナルトが殺ったはずだろ!まさか‥‥実は禁術で‥ありうる」
「違うのシカマル!お内裏様とお雛様が狙われて‥大変なのデス!!の、妄想。」
「――――っ紛らわしい!!!」
ああ懐かしや、つい昨日の事なのに素敵な妄想は止まらない。
今日はどんな妄想がいいかな、三人官女が実はいじわるな姉で婚礼を邪魔する、とか?
ムフ、でもまずは今日もお雛様の覗き見をしてからだよね。
じっとじっと見つめて、妄想に浸るんだぁ。
「おっ雛、さまぁ〜‥‥‥‥‥‥」
ひょい、と顔を出したその先にはお雛様とお内裏様‥‥の体。
‥‥あれ?首は?
「っふぎゃあああぁぁぁぁぁ!!首がなぁぁぁぁぁぁあい!!ニャァルトォーーーー!!」
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