チャクラを回復させる能力って…

ただでさえめんどくせー女なのにめんどくせー能力持ちやがって…


暗部内で総隊長であるナルトを抑えるのに精いっぱいだった。命が危ういことが何度あったか。
それにプラスして今度は茉莉。
なぜ精神的にこうもいたぶられなくちゃいけないんだ。










初めて感じる心の波動










「何もなかったか?」

暗部の任務を終えたナルトが帰ってきたのはもう朝方に近い頃だった、疲労など全く見られないその姿にシカマルは少しだけ溜息を吐いた。
暗殺任務の方が余程ましだったに違いない。

「…あぁ?何もって……答え難い………」

里内での護衛任務なんて休暇の様なもののはずなのに、それなのにこの疲れ…間違いなく茉莉が原因だろう。
ナルトは予想していたようなそんなシカマルの姿にニヤリと笑うと、ソファにどさりと腰を下ろした。

「あいつは?」

ナルトは手に持った書類から目を外し、シカマルの方へ視線を送った。

「意味不明な事が口から垂れ流し状態で家についたらだんまり。風呂入ってメシ食って……そこの保管庫に入っていった…あいつなんでんなとこ入るんだ?」

「俺に聞くな。馬鹿茉莉の考えてることなんて理解したくない。」

「そりゃ同意するが…あいつなんなんだ?いきなり護衛押し付けて一体なんなんだよ。」


しかも俺副隊長なのに…護衛ならもっと下の奴らでも充分だろうが。とは言えないけど。
めんどくさ、三代目に聞いてないわけ?とそんな感情を隠しもない表情をしたナルトは、茉莉について話し始めた。
チャクラを回復させる能力に始まり、トリップとやらについてだ。

実証できない異世界間の移動は置いといて、チャクラの回復はシカマルも興味を持つに充分値する内容だった。
術の類ではないらしい、しかし口から口とは難儀なものだ。
しかもそれ、ナルトはもう試したから出た結果だよなと気付くとなんだか体から力が抜けた。

そういえば家に来る前ドラえもん…いや、そいつじゃねーって……チャクラが一瞬で回復出来たらとか何とか言ってたなと思い出した。。
自分の事だったのか。

さっき茉莉が黙り込んでたのは能力について考え込んでたってとこあたり…
茉莉は未知の生き物だけど女であることには変わりないから、口から口なら悩みもするだろう。


…いや、悩まねーかも………
あ?悩むか?

チキンハートだって言ってたな…ってかチキンハートって?

なんか…めんどくせー


「そろそろ音が動く。中忍試験も近い。…茉莉が奪われたら面倒だぞ。」




音が動く。



この時期に茉莉の存在は本当に厄介。

ナルトは状況を楽しんでいる節があるが三代目や部下の暗部はピリピリしている。

茉莉の存在を里の上層部が知ったらその瞬間にでも茉莉の拘束命令が出て特上行きか。
利用価値がかなり高い能力だからな。


俺は俺で…俺なりの策を練るか。




「明日下忍の合同任務だろ。もう今日か…自宅に置いてきた影と変わって少し休めよ。」
ナルトがシカマルに労いっぽい声をかけるが真意は違うだろう。



茉莉、面白いだろ?
シカマルを疲れさせるなんてやっぱ相当だな。

声に出していないナルトの考えが伝わってくるようだ。

わざとシカマルに茉莉の護衛を押し付けて反応を楽しんだんだろう。
シカマルはもう十分と言うくらいにげっそりとやられた…


「はいはい…きちょーな体験ありがとな……」


はぁ…


二度とごめんだ…こんなの。
肩をがっくりと落としシカマルは帰路に就く。


全く…体力勝負の下忍任務のが断然楽だ。







「…シカマルだいぶ参ってたな。あいつが動揺するなんてこと滅多にないから面白い。」
くすくす笑うナルトは保管庫の戸に手をかける。


―――カチャ


目の前には綺麗に整頓された武器。下に目線を向けると床で布にくるまり眠っている茉莉がいる。

…なんでここで寝てんだ。どっかの部屋にでも行けばいいのに変な女。
足でコンと小突くも全く起きる気配がない。


「ほんと無防備な女だな。」

訳の分からない言葉を捲し立て自分から体を差し出したかと思いきや色事にはかなり疎い。

茉莉は傷を確認しただけと言っていたが男の目の前で服を捲し上げることがまずおかしいだろ。



「変な女…」

寝ている茉莉の唇に手を触れると茉莉が体を身じろいだ。

本当に…姿はいいのに口を開くと馬鹿だ。

こいつの能力が死んでも継続されるなら里の上層部は間違いなくこいつを殺すだろうな。
里の利益になれば同胞の命でさえ簡単に消すだろう。


静かに茉莉の唇に自身の唇を合わせると減った筈のチャクラが回復していくのがわかる。


「ん………」


こいつが里の上層部に渡ったら俺もやばいかもな。

九尾に目を光らせる上層の奴らが俺の力を知ったら間違いなく命を狙う。
茉莉が居れば俺を捕らえ殺すことは容易かも知れない。



こいつは諸刃の剣。

俺にとっても。
里にとっても。

そして…里を狙う奴らにとっても。


茉莉の髪を一房救うと冷たかった。
そういや風呂に入ったとシカマルが言ってたか。



一緒にメシ食って過ごして…

………





少しイラっとしたのは…ここ最近任務が詰まってるから‥だよな……







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