これはまだ、亜茄音様が幼き頃の話


「あの、亜茄音様?それはいったい
何なのでしょうか?」

『雪那には教えてあげない』

「そう、ですか…あはは」


亜茄音様が大切そうに抱き締めている

今までに見たこともない髪の長い日本人形

それも微かながらにも妖気を出している

見るからに怪しい人形【妖怪】


「亜茄音様、そろそろお勉強の御時間
だから、その人形私に下さいな?」

『イヤ!』


またある時は、、、


「亜茄音様、そろそろお風呂に
行きませんか?」

『じゃあ、この子も一緒に連れてくわ』


何時も何処に行くのも一緒に行動を共にする

亜茄音様と日本人形

日に日に、亜茄音様の体調の変化が

見えるようになったのは数日後の話


「亜茄音様、眠たいのですか?」

『うん…ちょっと、だけね』


¨フフッ¨


「っ」

『雪那、今笑った?』

「いえ…あっはい、ばれちゃいましたか?アハハ」

『ふーん』



「ねぇ、雪那、亜茄音ちゃんの様子
近おかしいと思わない?」

「紗音様は気になさらないで下さい
全て私が何とかやりますから…。」

「それじゃあ貴女に任せるわ」



亜茄音様が寝静まった頃…。


ソッと襖を開け亜茄音様の隣に佇むはず

の人形に視線を向けると、そこに居たのは

小さな和服の少女


「お嬢さん、そこで何を?」

「…」

「無視ですか?」

「ワタシノ…」

「ん?」

「ワタシノ…ジャマ…スルノハ…レ」

「此方を、お向きなさい!」

「私の邪魔をするのはダレ?」

「っ?!」


畏れを部屋中に振り撒きながら

襲いかかって来た妖怪。

このまま殺り合ったら亜茄音様を

起こしてしまうかもしれない。

誰にも観賞されず誰にも気付かれない場所

その場を求めて彼女を誘導しつつ

屋敷を離れる。


「貴女の目的はいったい何なのです?」

「音嵜組の若き頭が成長する前に今のうちに
手を打とうと思ったの」

「私が貴女に気づかないとでも?」

「それは心配したけど、あの子は私を大切に
してくれるもの…そんな私を側近ごときの
貴女に倒せる?私が居なくなると彼女は
きっと悲しむわよ、フフッ」

「…」

「今あの子に必要なのは貴女じゃなくて私」

¨スッ…¨

「斬るの、私を斬るの?ねっ。」

「おしゃべりが多すぎなんでんよ貴女は…」

「痛いよ…痛いよ…」


氷の刀は、よく斬れる

雪女の私には刀等、持ち運ぶ必要もない

亜茄音様が生まれた時この力は

彼女のために使おうと心に決めた。

例え亜茄音様が私を嫌っていても

忘れてしまっても私は彼女の側近だから。


『んー…』

「どうなされましたか?」

『この子、変わった気がする…』

「そうですか?可愛らしいじゃないですか」

『そっかなぁ』

「あの、…亜茄音様は私のこと
どう思っていますか?」


私は亜茄音様にとって、どんな存在なのか

必要とされているのか、それだけが気掛かりで

仕方がなかった。


『家族でしょ?』

「家族…、はい!」

『変な雪那?』

「フフッ」


私は彼女の¨家族¨だから

これからも、この先ずっと彼女の側に…。


『雪那お月見に行くんだ「御一緒します!」
…うん』

「これからもずっとお側に居りますからね」

『はいはい』




小さな誓い





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