とある、お昼下がり


『おじさん、そこのお饅頭
二つ頂けますか?』

「はいよ!これが丁度最後の
二つだったからね運がいいよ」

『そうなんですか?
ありがとうございます//』


久しぶりに町に繰り出て

桜の形をしたお饅頭を見付けた


『珱…喜んでくれるかな』


そんなことを考えながら

ふとあることに気づいた


『あっ、一つ忘れてた』


今までなら妹の珱と自分の分

だけの買い物だけだったが

今はあと一人…何時来るか

なんて気まぐれの彼だから

自分の分がないと分かれば

珱と喧嘩でもしかねない…。


『しかたないですね…』


彼のことを思い出せば

つい顔が綻ぶが喧嘩をされれば

面倒の他に変える言葉がない。

そう思いながらも先程の甘味屋

に踵を戻した。


『『すいません』』

『あ…』

『お先にどうぞ』

『嫌、私は後でいい』

『…ありがとうございます』


顔を笠と布で隠した声と着物

からして女性見るからに怪しい


「あのぅ」

『すっすいません、さっきの
お饅頭の他に美味しいお饅頭
なんてありますか?』

「さっきのがウチの一番だからね
みたらし団子なら余ってるけど」

『それならそれを包んで
貰ってもいいですか?』

「はいよ」

『…』

『先に譲って下さり
ありがとうございます』

『限定…桜饅頭は…のか…』

『はい?』


ボソッと聞こえただけで

何を言っているのかわからない

ただ顔を隠してはいるが

声に元気がないような気がした






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