驚いている私にぬらりひょん様はゆっくりと近づいて来た。


「もう寂しい思いはさせねぇ」


そう言ってぬらりひょん様はギュッと抱きしめてくれた。
久しぶりの温もり…


「でも…どうしていきなり?」


「さっき咲喜に凪が泣きそうだと言われたんじゃ」


廊下で会った時の…
心配してくれたんだ…
あんな冷たい態度とったのに…


「ぬらりひょん様…少し失礼します!!」


ぬらりひょん様を自分から離して私は咲喜さんを探した。


「咲喜さん!」


「ん?どうした?凪」


「ありがとうございます」


突然お礼を言った私に咲喜さんは首を傾げた。


「あんなひどい態度とったのにぬらりひょん様に私の気持ちを伝えてくれて…」


「私はお前が気に入ってるからな…どんな態度をとられようと気にしない」
 
 
咲喜さんは優しく私の頭を撫でてくれた。
こんな優しい人に私は黒い感情を持っていたなんて…


「でも私…気に入られることなんてしてませんよ?」


「私が倒れている間ずっと看病してくれて話し相手になってくれただろ?」


そんだけで…やっぱり優しいです…


「本当に冷たい態度をとってすみませんでした」


「気にするな…嫉妬をしていたんだろ?」


私は恥ずかしくなった。
絶対今顔が赤いはずだ…


「あの…よかったら私と友達になって下さい!」


咲喜さんは目をパチパチと瞬かせていた。
やはり嫌…かな?


「あぁ…いいぞ」


フッと微笑み了承してくれた。


「ありがとうございます!!」


嬉しい…咲喜さんと友達になれて嬉しい…


「何2人で盛り上がってんじゃ」


「ぬらりひょん様…どうして」


後ろからぬらりひょん様が突然抱きついてきた。
 
 
「お主がなかなか戻ってこんから様子を見に来たんじゃ…そしたら2人仲良く喋っておって…何を話しておったんじゃ?」


「内緒だ…なぁ凪」


「はい!ぬらりひょん様には内緒です」


内緒にされたことにぬらりひょん様はむすっとしていた。


「なんでじゃ…教えろ」


「「嫌だ/です」」


咲喜さんは私の手をとってぬらりひょん様から逃げた。

もう今の私には黒い感情など微塵もない…
まさか嫉妬していた相手にこの感情をぬぐい取られるとは…

咲喜さんは不思議な方です。
これからも仲良くしていけたら嬉しいなぁ…



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