“ヤキモチ”ってのは‥‥随分痛い。











思わぬ伏兵












『ごはんーごはんー、今日はフレンチ風だよ。だからお茶もハーブティー。ドライにしたリンゴを入れてみたから香りが素敵!
シナモントーストには煮込んだリンゴとはちみつたっぷり。サラダはお庭のお野菜で〜出来立てラディッシュとトマト入りのお勧めデース。あったかスープは今日はかぼちゃ、三回も裏ごししたのが功を弄して舌触り抜群!』


パタパタパタ。

朝早くからキッチンに立って朝食の準備をする茉莉。
ナルトが起きて来ると朝の挨拶の次に長々と本日のメニューについて語る。

最近のナルトは茉莉よりも起きるのが遅いらしい。
もちろん任務のある時は別だが茉莉が動き回ってても気にならないとか。
一昔前のナルトには考えられない事だが今はそれがふたりにとっては普通の事。
ちなみに茉莉以外が家に入ればその時点でナルトは起きる。
ついでにクナイが飛び起爆札が発動しどこかに吹っ飛ばされるのが常。
その間茉莉はナルトの結界に守られて驚くことに何も気付かずに料理を続けるのだから相変わらず大したもんだ、とシカマルはトーストを頬張った。


『いただきまーす』


席に着いた茉莉が入れたてのハーブティをふーふーと冷ます。
それだけでハーブの香りが部屋をくるくると漂った。
こっそりと隠れて香る甘酸っぱい香りは先ほど言っていたリンゴなんだろうと推察された。
確かに抜群の香り。


ナルトはナルトで同じくハーブティを飲むらしい。
疲れた時には甘いもの、という茉莉の言葉に従ってか砂糖を一つポチャリと入れる。
どこからか茉莉が買ってきた小さなハート形の薄紅色の砂糖。
カロリーゼロだからたくさん入れてもだいじょーぶ!と胸を張って自慢げにしていたのが遠い昔のことのようにいつでもテーブルの上にセットされている。


『ついについにね、ローズマリーのドライ加工が終わるのデス!あとローレルと唐辛子も準備万端だしバジルも元気だし!これでハーブオイル作るんだあ。波の国のオリーブが意外と人気でね、この間ナルトが買って来てくれたんだけどそれで作ろうと思って。そのオイルだけでも十分おいしいと思うんだけど実は塩と胡椒にもこだわっちゃった。雪の国の塩はすっごくすっごく高いけどこの間モニター応募したら当たっちゃった!ブフフ。胡椒はカカシせんせのお土産〜、オーガニックで人気だったんだって。いつものお弁当のお礼にどーぞって、えへへ、やさしーデース。』


ペラペラと話す茉莉は一呼吸置くとまたハーブティを一口飲んだ。
カカシ先生、確か先日任務で遠方まで行かされてたっけ。お土産って‥何してんだ‥あの人。
ナルトもナルトでいつの間に土産なんか買ってんだか、ブツブツ言いつつも茉莉に甘い。


『そういえば今日から任務だって言ってたっけ。いつ帰ってくるの?聞いてなかった!時間大丈夫?遅れないようにしなくちゃだよ、だって総隊長様と副総隊長様なんだもん!部下に示しがつかん!ってことでそろそろ出発する?』

「まだ食べ始めたばっかなんだけど」

『え?シカマルおかわり?』

「どうやったら今の言葉がおかわりに聞こえるんだお前は‥」

『食べ始めたばっかり→まだ食べたい→足りない→おかわり。かなあって。』

「‥なんか大事な何かがかけてないか‥‥」

『問題なし、デス!‥出発する?』


相変わらず支離滅裂。
やたらと出発出発と連呼する茉莉の横でついにナルトが席を立った。


『‥‥ナルト?‥おかわり?』


‥おかわりから離れろって。


『っわ!』

「お、おい、ナルト」

『わ、あ‥、ナル‥待って待って、いたっ!足打った!!う〜‥、わわわ‥‥‥‥』


手を引かれ、ズルズルと引き摺られる様にして茉莉がナルトと共に部屋を出て行った。何だってんだ‥。
シカマルゥ〜‥と小さな声が聞こえてきたが触らぬ神に祟りなし。
ナルトの食事を見るとほぼ食べ終わっているようだった。
しっかり食べるのは茉莉の作る食事くらいだが以前の生活を考えると大きな進歩。
何があったのか知らねーけど‥ま、いっか。

ズズ、と口に入れたハーブティ。
やっぱりおいしかった。





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