『ニャルト、私太った。』
「‥‥ほんとだ」
『っひどい!愛しい妻にそんな事!!野菜いっぱいでヘルシーなお食事心がけてきたのにー!お肉は特売の日しか買ってこないし食べないし、炭水化物も少なめ!低カロリーな理想的なお食事だと思ってたのに!!運動だってしてたもん!毎日お散歩してるもん!!ナルトの馬鹿!!馬鹿ぁ!!もう知らない!!』
ッバン!!
ガタガタと家が震えるほどの音を立てて茉莉が出て行った。
結婚して数年。
さすがに茉莉の不可思議な行動に慣れたナルトは茉莉を追わずに任務に向かった。
大概勝手に熱を冷まして笑顔で帰ってくる。
“ただいまー!ナルト、今日ね今日ね、いい事があったの!えへへ”
怒っていた理由すら忘れてほにゃけた笑顔で帰ってくる‥‥はずだった。
残された時間
「ただいまー‥‥茉莉?‥帰ってないのか?」
いつもとは違う暗い室内に茉莉の気配は感じない。
カタンと音がして窓の傍に寄れば茉莉の監視用に付けた鳥。
喧嘩していようがなんだろうが心配なのは変わりない。
茉莉の外出時には必ず付けているのだが‥。
「はあ、‥‥これで23羽目‥‥やっぱ影分身の方がいいか‥」
23羽、それは茉莉が手懐けた忍鳥の数。
訓練を受けたはずの忍鳥をどうやるのか意のままに操る。
人間とは思えないくらいの思考回路を持つ茉莉だ、鳥とぐらい意志疎通が可能なのかもしれない。
しかしこうも任務を放棄されると困る。
鳥といえど“忍”だ。
「‥お前、あとで覚えとけよ?」
にっこりと鳥に向かって微笑んで、ぱたぱたと暴れるその鳥を巻物に戻した。
きっとサクラかいのの所だろう。
体型に関して怒っていたからまずその二人の所に行くはずだ。
女は何故か集まりたがるし。
「サクラは‥病院か‥‥」
医療忍者として里の大きな力になっている彼女は昼夜を問わず病院に籠もって働いている。
そういえば会うのは久しぶりだった。
元気だろうが‥
第七班として動いていたのは随分と昔だ。
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