sample | ナノ
少し眩しい……。
頭がガンガンする。
ぼやけた思考の中、昨日の夜を思い出す。
あぁ、そうだ。
兄貴達や重達と、どんちゃん騒ぎして、
それからどうしたっけ……。
確か東南風と飲み比べ勝負したら負けちゃって、その後◯◯ちゃんと話したような………気がする。
身体の上に、布団の感触がある。
どうやってここまで来たか分からないが、無事自室に辿り着いたらしい。
にしても、よく酔っ払った状態で布団用意出来たな俺…。
頭も痛いせいか、まだ起きたくなくて、寝返りを打ったら真横に温もりを感じた。
(あったかいなぁ………ん?)
ぱちりと目を開けると、眼前に◯◯ちゃんの寝顔が映った。
暫く放心していたが、一気に顔を青ざめる。
俺は居ても立っても居られず、がばっと上半身を起き上げた。
「っ!?!、な……ッ!?」
声を上げかけたが咄嗟に手で押さえる。
お、落ち着け………
いや落ちついてる場合じゃねぇけど!
更に頭痛が酷くなって頭を抱える。
……これはどう考えても。
いや、まだそうとは限らない…。
(そうだ!着物!着物を見れば……っ)
すぐ自分の身体を確認すると、そこには見慣れた灰色の着物が。
良かった……着てるという事は何も起きなかったんだ。きっと。
ほっと安心したのも束の間、少し体勢を変えると、モゾモゾと下半身に違和感を覚えた。
ヒヤリとした感触に、嫌な予感が走る。
(……まさか)
恐る恐る布団を捲ると、そこには袴どころか…
褌すら身につけてない、現実が待っていた。
(完全にアウトじゃねぇかーー!!)
丸出しな姿に絶望し項垂れた。
何で上半身だけは着てるんだよ俺!どうせだったら下半身着てろよ俺!
そっちの方がまだマシだった!(?)
急いで◯◯ちゃんの着物も確認すると、彼女は俺と違って、ちゃんと着ていたが……
心なしか、腿の辺りが乱れてるような気がする。
(どっちだ……これどっち…!?)
とうとう目を合わせるのも申し訳なくなり、◯◯ちゃんに背を向ける。
一応、◯◯ちゃんとは恋人同士だったりするんだけど……だったらこんな事になっても問題ないじゃないか。
と、思うかも知れないが。
「初めてがこんな流れとか……」
最悪過ぎる。
しかも記憶にないとか……俺は一体◯◯ちゃんに何をしてしまったんだ。
ますます落ち込んで泣きかけた瞬間、背後から◯◯ちゃんの、控えめな声が聞こえてきた。
「航さん……?」
「!?、◯◯ちゃ…!」
「!、あ、そのっ、航さん昨日完全に酔っちゃってて…っ、…それからここで、その……」
俺より先に、カァと顔を真っ赤にして早口で話し始めた◯◯ちゃん。
その様子からして、すぐ察した俺は全力で土下座した。
「ご、ごめん…!!俺、◯◯ちゃんになんてことを…!」
「え…?…!、航さん、何もしてませんよ…?」
「え…」
予想外な答えが返ってきて呆けていると、◯◯ちゃんは説明してくれた。
「部屋に連れてきてお布団用意してたら……あ、暑いからって脱ぎ出して…っ。…そのあと航さん、私を離してくれないし」
そしてそのまま寝落ちました、と。
まさか俺が褌を身につけてない理由がそれだったなんて。
そうか、俺、◯◯ちゃんに何もしなかったんだ…。
「よ、良かった……っ」
「良かった…?」
「だって嫌じゃないか。酔った勢いでとか……」
できれば雰囲気ある時にしたいし、と、もごもごしていると◯◯ちゃんが俺の胸に顔を埋めてきた。
突然の事にドキッとする。
「………いまから」
「え?」
「…今からじゃだめですか?」
どうゆう意味で言ったのか分かった。
胸から◯◯ちゃんの頬の熱が伝わる。
あ、あれ?◯◯ちゃん、あのとき酒飲んでたっけ…?
「◯◯ちゃん、酔ってる…?」
「航さんに言われたくありません…」
「…っ!、…いいの?」
もう完全に酔いも覚めたし、願ってもいない事だった。
そのまま◯◯ちゃんと見つめあう。
そういえば俺、下に何も穿いてなかったな……興奮でとんでも無い事になってる。
情けない格好だけど、俺は◯◯ちゃんを布団の上に、ゆっくり押し倒した。
22/09/10
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