sample | ナノ
暫く磯を歩いて行き、以前にも訪れた鍾乳洞に辿り着いた。
中はいくつにも分かれていて、航さんに教えられた秘密の場所へと慎重に歩いて行く。
此処の海は背の低い私でも足が届き、泳ぐにもうってつけの場所だった。
見上げると、丁度いい空洞から太陽の光も差し込んでいて、視界も良好だ。
「…ここなら誰にも見られないし」
用意していた着物や手拭いを置き、ぱさりと帯を下に落とすと、次は着物を脱いで裸になった。
畳んでなるべく綺麗な所に置くと、準備運動をしてから、ぽちゃんと海に足をつける。
「ひゃっ、…〜っ!つ、冷たーい!」
けど、気持ちいい…。
堪らず、今度は全身まで潜ると、一気に海面から顔を出す。
開放的な気持ちになって、私はうーんと伸びをした。
(って、私、かなり無防備過ぎないかな……?)
何も身につけてない裸の自分を見て、『まぁいいか』と軽く流して背泳ぎをする。
周りは洞窟の壁だけだし、こんな所に人が来る訳ないし…。
「そうだ。あそこまで行ってみようっ」
久々に泳いだ楽しさに好奇心がくすぐられ、少し奥へと進むと佇んだ。
あ、もしかして、ここから先深い…?
気をつけなきゃ…。
と、思ったその時。
海面から、ぶくぶくと小さな泡が浮上してきた。
「え…?…!?!」
ざばぁと海面が揺らぎ、突き抜けたと思ったら…。
私の目の前に、頭からぼたぼたと水滴を垂らす航さんが現れた。
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