「馬鹿野郎共…」


ぐっとコップに入っていたコーヒーを一気に飲み干す。
炎山との待ち合わせのカフェで1時間も早く着いた私はイライラを抑えるためにコーヒーを頼んだ。

このイライラの原因は熱斗達にある。

昨日髪の毛を切った。そりゃあ結構バッサリと。気付かないわけない。でも、熱斗を始めライカやメイルちゃんですら気がつかなかった。
これじゃあ、結構髪切ったんだけど、どう思う?なんて聞いた私が恥ずかしいじゃないか。
熱斗が鈍感なだけだと思ったが、まさかライカ達にまで言われるとは思ってなかったわけで。



「イライラする…」



切っても切らなくても変わらないってか?足を組んで不機嫌オーラを出しながら炎山を待つ。
こういう時少しでも待っていると遅いと思えてくるから不思議だ。まだ15分前だというのに。



「待たせた」



10分前になってきた炎山をキッと見て、全然待ってないと一言言っておく。
私の不機嫌に気付いたのか、何をそんなに怒っているんだ?なんて聞いてくる炎山に蹴り入れておく。




「それで、要件は」

「あ、ああ…」




ゆっくり話しだす炎山の言葉を聞いているようでしっかり聞き流した私はもう一杯コーヒーの頼んだ。
どうしてもイライラが収まらない。
この目の前にいる炎山も何も言ってこない…いや、彼は最初から髪切った?だとかそんなこと聞くような奴じゃないのはわかっているけれど。

持ってこられたコーヒーにさえ気付かないほど私はイライラしていた。



いつの間にか話しも終わったのか、見ると炎山が私の名前を呼んでいた。




「名前」

「何?」

「コーヒー冷めてるぞ」



この男は…!そう思った瞬間炎山が立ち上がって私の傍にくる。何なの一体。










「髪、切ったんだな。前より似合っている」





まるで恋人にそう言うかのように優しく言う炎山の言葉に私は赤くなるしかなかった。















気付いてくれる人
イライラ→ドキドキ
気付いてたなら最初に言ってくれればよかったのにって言ったら、言ったら話しなんて聞かないと思ったからな。なんて、よく私のことをわかっていらっしゃる(どっちにしろ聞いてなかったけど)












――
切った髪が自然に似合いすぎてて気付かなかった熱斗達
炎山様はきっとこういう小さなことでも気付くやつ
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