同じクラスの日吉くんは字がすごく上手。
私の2つ前の席の日吉くんのプリントをいつも一番後ろの私が集めるのだけど、その時に見える日吉くんのきっちりとした几帳面な字がすごく綺麗で上手で、好き。
最初は字を見たときに一体こんな綺麗な字書くの誰なんだろう?って目線をその字を書いていた彼の顔に向けたことがある。その時初めて日吉くんを知った。
クラスの顔人のと名前が一致している人が少ない私の中で日吉くんは強烈に頭に残った。
こんな綺麗な字を書く人がこのクラスにいるんだと。
今日もまたプリントを集める時に少しだけ眺めてしまっていた。


「お前、何でいつも俺のプリント見てるんだ早く集めればいいだろ」

「あっごめんね。日吉くんの字がね…」


はっと気付いて口を紡ぐと訝しそうに眉を顰めて、俺の字がなんだ?と聞いてくる。はっきりと言わない私に業を煮やしたのか舌打ちをしそうな勢いではっきりしろと言ってくる。


「字がね、日吉くんの字が好きなの。几帳面できっちりしててそれで綺麗で上手だって…ご、ごめんね!早く集める!」


プリントをササッと集めて日吉くんの前の人のプリントも全部集めて先生に提出する。恥ずかしくて始終顔を下に向けたまま日吉くんの席を通り過ぎて自分の席に戻った。日吉くんが好きなわけじゃないのに何でこんなに恥ずかしいんだろう。好きって言ったからかな。おかしいな。
席に戻ってふぅと一息吐いて授業終了のチャイムの音を聞く。
ああこれからは日吉くんのプリントすぐに集めなきゃな。いつもどうして自分のだけ少し眺めてるんだろうって不思議だったんだろうな。早く集めろよって。何だか悪いことをした気分。
ぐだっと机の体を投げ出して腕を伸ばすと腕に紙が乗せられる感触がした。
何かプリント回ってきたのかな?
こういうとき一番後ろっていうのは次にプリントを回さなくて済むし楽でいい。
顔をあげて腕におかれた紙を見ると、私が思っていたような親に向けてのプリントや授業のプリント、小テストの返却…そういうものではなく、真っ白の紙の真ん中に「馬鹿」って書かれた紙1枚だった。

この字は、日吉くんだ。

2つ前の席をガバッと顔をあげて見ると日吉くんが私に目線をやってニヤッと少し笑ってすぐにふいっとそらしてしまった。



どうしよう。
字だけじゃなくて、日吉くんに惚れてしまった。








恋に落ちる字
まずはこの紙についての返事から。






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