「お茶が飲みたい!」
「お茶!」
「お茶お茶お茶お茶ー!」
「おーちゃー」
「少し黙っててください!」
観月の寮にこっそり入るのなんてもう日常として当たり前のようになってきている。
どうしてか私が入っても怒られないのは多分観月がなんとかしてくれてるからじゃないかと思う。
こいつの場合、自分にも火の粉が飛んでくるからだろうけども。
今日はでも少し違う。
テスト期間で部活をすることは許されていない今、勉強しかない。
こいつも例外なく勉強してる。
「あー観月のお茶飲まなかったら私死んじゃうんじゃないかなー」
「大体、いつも淹れてあげてるのは紅茶でしょう。何でお茶なんですか?」
「ちょっと気分変えようと思って」
別に紅茶でも何でもよかった。
構ってほしい犬とでもいうのか。観月は何だかんだ言っても私を構ってくれる。別に彼氏彼女の関係ではないし、私はテニスやってるわけでもないし、ただのクラスメイトなだけ。
それでも仲いい(と、周りは思ってる)のは波長が合うのか一緒にいて飽きないから。親友っていうには悪友の方がピッタリ。
「私、観月のこと好きだよ」
「はいはい」
「お茶飲みたいよ」
「後で煎れてあげますから」
こうやって好きって言っても冗談で。それを観月もわかってる。
そんな関係が、心地よくて。
多分、下の名前で呼んだ時、初めてお互い真剣なんじゃないかって思うからこそ、冗談が言える。
「あー観月何だかんだ言ってやっさしー好きー」
「僕も名字さんといて飽きないから好きですよ」
お茶をくれ!!
「はい、どうぞ」「やっぱ紅茶も飲みたい」「殴りますよ」