名前に会いたい名前に会いたい名前に会いたい。昨日メール出来なかったせいか、禁断症状が出ている。なんで同じ学年じゃないんだ。名前が同級生だったらいいのに。そしたらその流れで一緒に飯食ったりノート貸し借りしたり出来るのに。くそ、まさか留年したいとか思う日がくるとは。「宮地、妄想が口に出てるぞ」うるさい分かってる。引かれてるのも分かってる。ああもう素直に会いに行こうか。…無理だな。一年のフロアで浮くの嫌だし、名前に嫌な顔されたくないし(しないと思うけど)。
とりあえず購買行くか…飯食ってから考えよう。教室を出て購買に向かっていると携帯の着信音が鳴る。なんだ高尾かよ…。あり得ないこと期待した俺がバカだった。どうせ名前の方からメール貰ったことねーよ。いつも俺から一方的に送ってんだよなんか文句あるか。若干苛々しながらメールを開くと「名字ちゃんがお昼食べてくれない。宮地さんなんとかして」いつものふざけた絵文字も顔文字もなく、なんだか深刻な内容だ。昼食べないってダイエットとか?阿呆か。名前にそんなもの必要ない。寧ろ軽過ぎて心配になるくらいだ。「なんでそうなった」「あー…俺のせいみたいで」分かったお前理由によってはあとでシバく。とにかく名前探して飯食わすのが先だな。購買でいつもなら買わないメロンパンとミルクティーも買った。いちごみるくは売り切れてたけど、似たようなもんだろ。名前好き嫌いないし。
名前は高尾から逃げたので教室にはいないらしい。気紛れだからどこにいるのかも分からない。虱潰しに当たってくしかないのか。でも、名前は静かな場所が好きだから相当限られる。たまに体育館裏にも来るのを思い出した。会いたいと思ってそこに行くと、会えることがあるから驚きだ。運命ってやつかもしれない。迷わず体育館裏へ向かうと、やっぱり名前がいて、俯いているのを見つけた。前に聞いたら、これは知らない奴と目を会わせたくないからやってるらしい。すげぇ人見知り。でもガードは固い方が俺は安心だ。俺は避けられてないし。「名前」声を掛けるとすぐに顔を上げた。それは嬉しく感じるが、少しだけ顔色が悪いのが気に入らない。「清志先輩?」「…飯、食ってないんだろ」そう言うと名前は小さな声で「またか…」と呟いた。多分高尾のことを言ってるんだろう。でもそれ高尾が悪いんじゃなくて、名前のことは出来るだけ俺の耳に入ってくるようにしているからだ。言わないけど。「昼飯一緒に食お」「持ってきてないです」「知ってる。買ってきた」メロンパンを取り出して渡そうと試みるも、名前は抵抗している。頑固で遠慮しいなのは少し厄介だ。かわいいけどさ。ため息を吐いて小さい頭を撫でる。

「食わないと倒れるぞ」
「ほ、ほっぺ、ぷにゃぷにゃって言われたんです…絶対、太ったもん…」

おいこれか高尾。つーかお前どこで名前の頬なんか触りやがった。やっぱり高尾シバく。名前は相当ショックだったのか少し涙目だ。もんって…もんってなんだよかわいいなぁ…。そうじゃない。頬が柔らかいだけで太ったと断定するのは早いだろ。名前のことだから体重計にも乗らないで焦りだけが一人歩きしてそうだ。というか、少しくらい増やしてもいいんじゃないか?どっちにしろかわいいことには変わりないし。「別に太ってないし、もしそうだとしても名前はかわいいよ」「えっ」あ、ついそのまま言ってしまった。まあ事実だけど。名前にかわいいと伝えるのは初めてだと思う。心の中で叫びまくってるから本当にそうか分からないけど。突然、名前の白い肌がこれでもかと赤く染まった。かわいいって言われて照れてるのか…?今まで緊張させたりすることはあったが、こんなに真っ赤な名前は見たことがない。かわいい。俺のせいで真っ赤になった肌が愛おしい。これでもかと頭を撫でて、ミルクティーを渡した。「ごめんな、いちごみるく売り切れてた」何故か名前は今にも泣き出しそうな顔をした。いちごみるくがよかったのか?でも売り切れだしな…。「清志先輩…」「ん?」「心配掛けて、ごめんなさい」ああ、やっぱり素直でかわいいな。まだ俺が怒ってると思っているみたいだ。かわいい。すげぇかわいい。でも本当に心配したし、高尾に頬を触られたのも死ぬ程ムカつく。だから罰ゲームとして、メロンパンは俺の手から食べてもらうことにした。名前は基本押しに弱いから拒否しない。でも恥ずかしいのか、顔は少し赤いままだった。時折唇に触れる指が熱い。俺の指まで口に含んでほしい。…所詮俺も思春期である。今日手洗えない。…メロンパンのせいでベタベタするから洗うけど。

「あ、お金、明日返します…」
「いいって」
「でも」
「後輩なんだから奢られとけ」

この遠慮しいめ。その謙虚なところもいいんだけど。俺にはもう少し甘えてほしかったりする。名前にとってはただの先輩かもしれないけど、俺は好きな子に頼られたいし甘えられたい。名前におねだりなんかされた日には簡単に貢いでしまうんだろうな。まあそんなことは天地が引っくり返ってもあり得ないだろうけど。「清志先輩は、何か私にしてほしいことありますか?」「なんで?」「お世話になってばっかりなのでお礼したいです」まあ、俺も無欲な訳じゃないし、見返りを求めていないと言ったら嘘になる。でも今は出来る限り優しくして甘やかしたい。名前の中の俺に「優しい先輩」という印象を植え付けたいのだ。そして、あわよくば好きになってほしい。高尾や緑間よりも、俺と一緒にいたいと思ってほしい。俺だけの名前になってほしいし、名前だけの俺になりたい。欲だらけで嫌になる。でも今はこのままでいい。いつかお前が俺と同じ気持ちになってくれたら、その時にたくさん返してくれよ。その方がいろいろ頑張れるしさ。しかし「悪い、保留で」そう言うと名前は少しだけむくれた。かわいいな。本当にお礼がしたいと思ってくれているのだろう。良い子過ぎても親の顔って見てみたくなるもんだな。「本当に、なんでもいいんですよ?」「なん、でも?」やめろちょっと心揺らぐだろ。そんなこと言って「じゃあ付き合って」とか言われたらどうするんだ。…あー、お前付き合っちゃいそうだよな…危ねぇわ。たく、小悪魔って天然のことじゃね?でもまあ、名前が何かしたいと思ってくれるのは嬉しい。お前、自分でなんでもいいって言ったんだからな。

「名前」
「はい」
「膝の上、乗って」
「…はい?」

一瞬頭に疑問符を浮かべた名前だったが、遠慮がちに「…失礼します」と言って座ってくれた。俺が頼んだのに失礼も何もないと思うが、そんなことはどうでもいい。やっぱり名前は太っていないと思う。この前と変わっていないように感じるし、頬は元々柔らかいのだろう。俺も触りたい。「先輩、他に無いんですか?これじゃ済みませんよ」済まないって、俺別にお前に悪いことしてないだろ。笑いそうになるのを必死に堪える。名前の思考回路と言葉のボキャブラリーは俺の理解を越えているのだ。「思い付かないから、名前が考えといてくれよ」名前は心底困ったような顔をした。そうやって悩んで悩んで、暫く俺のことだけ考えてくれ。俺はお前がしてくれることならなんだって嬉しいし、俺のことで悩んでくれるだけで満足なんだよ。かわいい名前。誰にも渡したくない。かわいいかわいい。思わずかわいいと声に出していたようで、名前の顔はまた赤くなった。そんな顔されたら毎日言いたくなるだろ。


(照れるってことは脈ありでいいよな?)


130509
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