放課後の医務室で善法寺くんと過ごす時間は本当に幸せだと思う。前に医務室で委員会の作業を見た時から、こうして何もない時も医務室に誘ってくれるようになった。いいなあ保健委員会。最初は不運委員会なんて呼ばれてたから変な委員会かと思ったけど、他の委員も優しいし良い子たちだ。
今日も善法寺くんに淹れてもらったお茶を飲みながら、授業のことや可愛い後輩たちについてお話しをしていた。すると急にドタドタと足音が聞こえて、医務室の戸が勢いよく開く。

「えっと…数馬くん」
「あ、名前先輩もいらっしゃったんですか。名前覚えててくれたんですね!」
「数馬くんも私の名前覚えててくれたんだね」

嬉しくてお礼を言うと、数馬くんは照れて顔を真っ赤にしてしまった。やっぱり可愛いなあ…こんな後輩がいて羨ましい(決してくのたまの後輩が可愛くないとは言ってないけど!)。
数馬くんは医務室に忘れ物をしていたらしく、それを持ってすぐに帰ってしまった。もう少し話したかったな…。

「…ねぇ名前ちゃん」
「何?」
「どうして数馬のこと名前で呼ぶの?」
「?…乱太郎くんも伏木蔵くんも左近くんも名前だけど…」
「…僕は名字?」
「!」

みんな可愛いし、善法寺くんが名前で呼んでるから、思わず私も名前で呼んでるだけなんだけど…。しょんぼりとした善法寺くんに言われるととてつもない罪悪感に襲われた。だって、善法寺くんのこと、好きなんだよ?男の子ってだけでも名前で呼ぶの恥ずかしいのに、好き人なんて尚更だよ…。
しかしそんな告白みたいなことを言うわけにもいかなくて、口を紡いでしまう。善法寺くんは私のこと名前で呼んでくれてるんだから、は私も名前で呼ぶべきなんだよね…。でも名前は無理だって…!

「ご、ごめんなさい…」
「あー…呼びにくかったらさ、“いさっくん”でもいいよ?」
「え…あ、なんか可愛い…」
「小平太がたまに言うんだけど…」

…善法寺くんの顔を見る限り、とても気に入っているようには見えないんだけど。実はあんまりよく思ってないんだな。でも名字よりはいいって言ってくれるなら、こっちの方が可愛いし呼びやすいかも…(善法寺くんっていうの長いし)。

「い、いさっ、くん…?」
「!…なあに?」
「嫌じゃない?」
「小平太に言われるとおちょくられてるみたいだけど、名前ちゃんが呼んでくれると嬉しいよ」

時々どきっとすることを言うのが善法寺くん…あ、いさっくんである。なんかこの呼び方私の方が恥ずかしくなってきた。
思わず顔を赤くしてしまうと、「もしかして風邪?」と言ったいさっくんが額に手を添えてきた。…それでもっと真っ赤になったことは言うまでもないだろう。


発熱
(目が合ったら、触れたら、即上昇)



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