※新妻夢っぽい


「僕、名前さんのことが好きなんです」

空気が一瞬にして凍りついた。というか私が一方的凍りついた。そしてこの状況を作り上げた彼、新妻エイジは今の爆弾発言に気付いてないのか、また手元にあったノートに落書きを始めていた。
いや、落ち着け私。とりあえず今の状況を整理しなくては。雄二郎さん経由で知り合った人気漫画家の新妻エイジ。家事が全面的な彼を見兼ねた私が雄二郎さんに頼んでお世話させてもらっているのだ。もちろん手を出すようなことはしてないし、新妻くんだって8つも違う私に興味なんかないと思っていた。…そう、思っていたのに。

「…今のはどういう意味で?」
「そのままの意味です。好きなんです」

…なんてこった。あれだけ変な刺激はしないようにと、思わせ振りなことはするなと言われたのに(私はどちらもした覚えはないが)。新妻くんも思春期だったんですね、ずっとお子様なのかと思ってたよ!
大体、新妻くんはなんで私なんか好きになったのだろうか。とにかく、黙っていては話にならない。

「…私は新妻くんのこと好きになれないわ」
「何て言われても僕は名前さんが好きです。無理矢理アタックするつもりはありませんけど、諦めるつもりもありません」
「…そうですか」

駄目だ、普通に恥ずかしい。今までこんなにはっきりと想いを告げられたことはなかったから、何回も言われては揺さぶられてしまう。新妻くんは高校生で私は大人なのに、全くだらしがない。…ここは大人としてビシッと決めなくては。
掃除をしていた手を止めて、新妻くんの方へ歩み寄る。新妻くんもノートを閉じて、私の方に向き直った。…どうしようマジで緊張してきた。隠してはいるけど私も雄二郎さんと同じくらい根性なしなんだよ、ヘタレてるんだよ!

「新妻くんにはもっといい人が、」
「いません」
「…もっと視野を広げてみるのも、」
「広げても名前さんしか見えないと思いますけど」
「………。」

ああ言えばこう言う。聞き分けが悪いんだけど。一言くらい聞いてくれてもいいじゃないか(全部遮りやがって)。新妻くんが嘘を吐いているのでも冗談を言ってるのでもないことはよくわかった。しかしわかったとしても、それがいい答えに繋がるとは限らないのだ。
高校生に、それもこんなに可愛くて手の掛かる子に告白されるなんて。滅多にない経験だろう。もちろん、女としては嬉しいことこの上ない。だがそれはそれ、これはこれである。新妻くんは高校生、未成年、イコール犯罪!

「犯罪、駄目、絶対!」
「未成年じゃなくなったらいいですか?」
「そういう問題じゃ、」
「またその時に言います」

この子全然私の話聞いてない!というか成人云々以前に私に彼氏がいること忘れてるんじゃないの新妻くんんんん!!

「雄二郎さーん!!」


新妻くんに告白されました!
(うわあああどうしよう!?)(どうしようじゃないだろ!だから行かせたくなかったんだよ!)

―――

これでも雄二郎さん夢だと言い張る。新妻夢書こうとしたらこうなったので、何を書いても結局オチは雄二郎さんになることが判明。…これからどうしよう。



120512
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