※pkmnパロ


久々にやって来た電気石の洞穴で美味しそうに電気を食しているバチュルを観察している午後のことだった。突然知らない人に声を掛けられてバチュルを観察しながら他愛もない話に耳を傾けたのだ。どうせ暇だったし、電気石の洞穴に人が来るなんて滅多にない。
最初こそ普通に話していたのだが、事件は突然起こった。電気を食べ終えたバチュルが、その人の頭に乗っかったのだ。…いや、この場合入り込んだというのが正解か?まぁそんなことはどうでもいい。たまたまその人の髪型がバッフロンにも劣らないアフロだったというのもあり、見事バチュルはその頭を気に入ってしまったのだ(バッフロンは失礼か)。他人には、懐かないやつなのになぁ…。
結局バチュルは出てきてくれなくて、その人と頻繁に会うことを条件に出てきてもらったのだ。全く、困ったやつである。

「ユウジロウさん来てくれるって。よかったねー」
「ばちゅばちゅ」
「バチュルたんまじかわいい」

今日も彼に会いに、バチュルとヒウンシティまでやって来たのだ。たしか仕事の場所がここだとか。火曜日にはヒウンアイスも食べられるし…私もここに住みたい。家がライモンシティだからそんなに遠くはないけど、4番道路はすごい砂嵐だからあんまり通りたくない。砂嵐が嫌なのはバチュルも同じみたいで、メグロコに遭遇した日には決まって嫌な顔をする。それでもヒウンシティに来たがるってことは、相当ユウジロウさんのことが好きなんだろう。

「妬けるなぁ…」
「何が?」
「うわ、ユウジロウさん…って、なんで頭にマメパト乗ってるんですか。巣?」
「さっきから降りてくれないんだよ」
「…人気者ですね」

どうやらその頭にはポケモンを引き寄せる何かがあるらしい。ユウジロウさんの頭に乗っているマメパトは、それはそれは気持ち良さそうにあくびをした。いいなぁ、マメパトも可愛いなぁ。しかし私のバチュルはそれをよく思わなかったのか、マメパトをじっと睨んでいる。…あぁ、あれだよあれ、ヤキモチだな。
バチュルのヤキモチは次第にヒートアップしていき、すごい勢いでマメパトに突進した。ちょ、そんな技覚えてないでしょうが!もちろんマメパトだけでなく下のユウジロウさんにも被害が及んだわけで。とりあえず、暴れるバチュルをボールに戻した。いつからそんな嫉妬深くなったの。というかお前オスだろ!!

「マメパト行っちゃいましたね…」
「あぁいいよ、重かったから」
「バチュルも普段は凶暴な子じゃないのに…」
「あの体で突進すると逆にバチュルのがダメージ大きそうだけど」
「リアル過ぎて笑えないです」

手のひらサイズのくせにすぐ無茶するんだから。というか突進なんて覚えてないし覚えない。…もうこの子ユウジロウさんに引き取ってもらった方がいいんじゃないだろうか。そうすれば嫌いな4番道路を通らなくてもいいし、いつでも頭に乗っかっていられるし。…デンチュラに進化してからはどうか知らんけど(まあ無理だろうな)。

「ユウジロウさんバチュルは好きですか」
「?…好きだけど」
「この子を育てる気はありません?」
「ナマエちゃんから貰うってこと?」

縦に首を振ると、ユウジロウさんはものすごく困ったような顔をした。バチュル好きなんだったら貰ってくれればいいのに。そりゃ、私だってずっと一緒にいたバチュルと離れるのは寂しいけど。絶対この子私よりユウジロウさんに懐いてるよ(ヤキモチ妬いちゃうくらいだもんね)。
うーんと唸っているユウジロウさんの返答を待っていると、突然真剣な顔で私の両肩を掴んできた。え、何事ですか。

「バチュルはいいんだけどさ、」
「はい」
「俺ワルビル持ってるよ?」
「………。」

さっきも言ったように、私のバチュルはメグロコが大嫌いだ(多分じめんタイプだから)。ワルビルといえばそのメグロコの進化系…。無理だ、絶対無理。以前リゾートデザートで遭遇したが、走って逃げたのを思い出す。せっかくマラカッチたん捕まえに行ったのに!とんだ無駄足だったよ!
それにしても…そうか、ユウジロウさんワルビル持ってるんだ…。彼の腰に付いているボールが若干怖くなり、思わず半歩下がった。きっとバチュルもショック受けるだろうな。

「…今日は連れてないから怖がらなくてもいいよ」
「そ、そうですか…」
「うちでバチュルは無理だろうな。まあその方がいいけど」
「なんでですか?」
「ナマエちゃんが会いに来てくれるから」
「…は?」

意味がわからずマヌケな声を出すと、ユウジロウさんがしまったと言わんばかりの顔をした。ちょ、何がしまったなのか私にも教えてくださいよ(一人で盛り上がってないで!)。結局いいところでユウジロウさんのお昼休みが終わってしまい、明日の夕方に次会う約束をした。今日ははぐらかされたけど、明日は必ず問い詰めてみせるんだから。待っとけよ!
一人で意気込んでいると、今日はずっとボールの中に閉じ込めてしまっていたバチュルの存在を思い出した。…これ、暫く機嫌直りそうにないな。


夢と希望が詰まってるようです
(…ナマエちゃん何してるの)(どれくらい入るかなって)(だからって俺の見たことないポケモン押し付けるのやめてくれ!)(ネイティです)(名乗ってもダメだから!)

―――

反省はしてる。稲妻やその他ジャンルでは通用するが、爆漫は…ねぇ…どうだろうか…。…とりあえずバッフロンネタで満足はしている。そして多少なりとも後悔もしている。ごめんなさい。



120430
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