占いとかおまじないとか、女の子なら一度はハマるものだと思う。私なんて今でも好きで、毎週の運勢チェックは欠かさない。おまじないなんて小学校の時に流行った消しゴムジンクスをまだやっているのだ(書いてある名前はキャラクターのものだけど)。
ちなみに今週の運勢はまあまあ良くて、恋愛運が最も高いと出ている。恋愛って言ってもなぁ…ついに流川くんが液晶から出てくるのかしら。

「…ない、か」
「何が?」
「うわっ!吃驚したじゃんか…」

例の雑誌を読んでいると後ろから雄二郎がにゅっと顔を出した。出てきてほしいのは君じゃなくて流川くんなんだけどね。雄二郎は相変わらず敬語使わないし、年下のくせに生意気でムカつくな。はぁ、とため息を吐きながら雄二郎を見ていると「幸せ逃げるぞ」と言われた。今吸いとってるのは確実に君だよ。
そういえば運気アップのキーワードは後輩だった。雄二郎とはほぼ同期だけど、学年と年齢で言うなら後輩。こんな後輩でも運気アップに繋がるのかしら。

「雄二郎」
「だから何?」
「雄二郎って彼女いたっけ」
「はぁ!?」
「うるさいな…」

なんだ、慌てるってことはいたりするのか。じゃあいいやと丸投げして雑誌に視線を戻そうとすると、「いないから!」と何故か焦ったような口調で言い放った。彼女いないですって胸張って言えるようなことじゃないと思うんだけど。

「雄二郎って私の後輩だよね」
「不本意ながら」
「どーゆー意味よ」
「ごめん」

謝っておきながらも敬語使わないってどういうこと?まあこいつ服部さんにも敬語使ってないし…(生意気通り越して図々しい奴だな本当に)。
不思議そうな顔をしている雄二郎に、今週の運勢が書いてある場所を指差す。そこには、“人の恋を手伝うことが自分の恋に繋がる”と示されていた。どうせ手伝うならキーワードに書いてある後輩の恋とやらを手伝えば一石二鳥じゃないか。

「ということで好きな子教えなさい雄二郎!」
「相変わらず命令口調だよな…」
「何か文句あるの?」
「女王様か」
「個人的には悪代官の方がいいわね。却下」
「意味わかんない」

さりげなく話を逸らそうとするってことは、まさか言いたくないのかしら(中学生かお前は)。いい歳した大人が顔赤くしやがって鬱陶しい。早く言えと急かすが、ぐだぐだと言い訳をするばかりで結局好きな子は聞き出せない。自分から話を振っておきながら、なんか面倒になってきたな。
一旦雄二郎から視線を逸らして編集部内に目を向けてみる。…よく考えると後輩って少ないのよね。もうすぐ山久が帰ってくるけどあの人は絶対嫌だし。やっぱり雄二郎しかないな。

「ここは一つ、交換条件といかない?」
「交換条件?」
「そう。好きな子教えてくれたら、私が絶対に付き合えるようにしてあげる。こう見えても結構経験積んでるんだから」

えっへんと胸を張って言うと何故か難しい顔をされた。あれ、もっと突っ込まれると思ってたんだけどな。まあ経験ってのは嘘でもないし、付き合えるかどうかって結局は本人たち次第だけど、雄二郎ってそんなに悪くないから大丈夫でしょ。

「…絶対だな」
「うん、頑張る」
「…………名前、」
「うん?」
「いやだから、俺名前が好き、だ」
「うんんんん!?」

雄二郎の好きな子って私…?いやそんな馬鹿な。その歳でまだ結婚の予定もないのかよとか、私に寄ってくる男は見る目ないとか散々言ってたくせに!全部フェイクか!
なんか雄二郎と付き合うのって気が進まないなぁ。浮気はしないだろうけど今でもケンカはしょっちゅうしてるし…くっ、めんどくさい…!自分から言ったけど気が進まないから無理難題言って受け流そっと。

「…福田くんの今描いてる作品がアニメになったら付き合ってもいいよ」
「なっ!絶対って言っただろ!?」
「頑張るって言ったから、雄二郎も頑張って。まあ本誌での進み方から見る限り、アニメ化は早くても三ヶ月後。それまでに私に冷めてなければ、ね」
「二年も好きで今更冷めるわけないだろ!」
「……は?」
「あ、………」


未来予想をしよう
(名前!ロードレーサーアニメ化!はい付き合って!)(雄二郎さんここ職場なんですけど。そしてそんな昔の話は覚えてないヨ)(会話録音してあるけど)(いつからそんな賢くなった雄二郎おおお!!)



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